MabGenesis(マブジェネシス・653A)IPOは買い?|ペット用抗体薬・黒字転換・吸収20.6億円を初値予想 / FIRE計画 迷走IPOルート38日目

青基調の実写風アイキャッチ。メガネをかけた中年男性が、犬や猫の画像と抗体の3Dモデルが映る研究画面を興味深く見つめている。画像内には「MabGenesis(マブジェネシス・653A)IPOは買い?」「ペット用抗体薬・黒字転換・吸収20.6億円」「FIRE計画 迷走IPOルート38日目」といった文字が入り、ペット用抗体医薬品の研究開発を行うIPO銘柄を分析する内容を表現している。 IPO日記

独身おじさんのIPO日記、今回確認するのは「MabGenesis(マブジェネシス・653A)」です。

2026年11月2日に東証グロース市場へ上場予定。主な事業は、イヌやネコを対象とした「ペット用抗体医薬品の研究開発」です。

想定発行価格は902円、公募94万700株、売出104万7,200株、オーバーアロットメントによる売出しは最大29万8,000株。
OAまで含めた公開株数は228万5,900株となり、想定価格ベースの吸収金額は約20.6億円です。

上場前の発行済普通株式数711万4,000株に公募分を加えると、上場時は805万4,700株。
想定価格902円で計算した想定時価総額は約72.7億円です。

100株の申込に必要な資金は9万200円。個人投資家でも参加しやすい価格帯になっています。

今回の特徴は、いわゆる創薬系IPOでありながら、2026年3月期に売上高約3.38億円、純利益約3,600万円を計上し、前期の赤字から黒字転換していることです。
一方、その収益は製薬会社との共同研究、契約一時金、研究開発の進捗に応じたマイルストーン収入などによって大きく動きます。

つまり、「黒字化した普通の成長企業と同じ感覚では見にくい創薬IPO」です。

MabGenesis(653A)の事業内容、研究開発パイプライン、業績、公開規模、公募資金、株主、ロックアップ、幹事証券まで確認し、初値を考えていきます。

※本記事は2026年9月29日時点の公開情報をもとに、想定価格902円を基準として整理しています。仮条件は10月13日、公開価格は10月22日に決定予定です。

スポンサーリンク

MabGenesis IPOの結論|評価B-、BB参加

まず全体を整理します。

項目内容
筆者の申込判断参加
IPO評価B-
初値妙味小~中程度
公募割れリスク中~やや高め
想定価格902円
必要資金9万200円
吸収金額約20.6億円
想定時価総額約72.7億円
主なプラス材料ペット用抗体薬・黒字転換・大手製薬会社との提携
主な注意点収益変動・売出多め・VC等の1.5倍解除

事業テーマは比較的珍しく、ペット医療と抗体医薬を組み合わせています。
しかも研究だけを続けている会社ではなく、すでに複数の国内外企業へ抗体の権利を導出し、共同研究も進めています。

一方、吸収金額約20.6億円は東証グロースとして極端な大型IPOではありませんが、超小型案件のような品薄感もありません。
さらに、通常売出104万7,200株が公募94万700株を上回っています。

「技術・提携実績はプラス」、「需給と創薬特有の収益変動はマイナス」、この両方を見るIPOです。

MabGenesis(653A)のIPO基本情報

公開条件とスケジュールです。

項目内容
会社名MabGenesis株式会社
証券コード653A
市場東証グロース
上場予定日2026年11月2日
想定発行価格902円
仮条件決定日10月13日
BB期間10月15日~10月21日
公開価格決定日10月22日
購入申込期間10月23日~10月28日
公募株数940,700株
売出株数1,047,200株
OA最大298,000株
申込単位100株
想定必要資金90,200円

一般の購入申込期間は10月23日から10月28日、上場日は11月2日です。
想定時価総額は約72.7億円なので、時価総額だけを見れば巨大なバイオIPOではありません。
ただし、利益水準はまだ小さく、通常の安定黒字企業と同じPERだけで割安・割高を判断するのは難しい会社です。

MabGenesisは何をしている会社?|イヌ・ネコの抗体医薬品を開発

MabGenesisは2019年に設立された創薬企業です。藤田医科大学や宮崎大学で培われた抗体研究を背景に、主にイヌやネコ向けの抗体医薬品を開発しています。

抗体医薬品とは、病気に関係する特定の分子へ結合する抗体の性質を利用した薬です。
人間向けではすでに幅広く使われていますが、MabGenesisはその技術をペット医療へ展開しています。
同社が持つのが、イヌやネコの抗体候補を多数蓄積したファージディスプレイ抗体ライブラリーと、そこから目的に合った抗体を見つけ出す技術です。

難しい言葉が並びますが、IPOを見るうえでは、「病気の原因となる標的へ作用する抗体候補を探し、製薬会社へつなげる会社」くらいに考えると分かりやすいでしょう。

自社ですべての薬を最終販売まで手掛けるのではなく、候補抗体を研究し、製薬会社へ導出するモデルを取っています。
そのため収益も、商品を毎月販売して積み上げるのではなく、共同研究契約、導出契約、研究進捗に応じたマイルストーンなどから生まれます。

前臨床7件・4件導出済み|大手動物薬企業とも提携

創薬IPOを見るときに重要なのが、研究がどこまで進んでいるかです。
MabGenesisでは、ヒト医薬品のフェーズ1・2に相当する動物用医薬品の前臨床段階に7件のプロジェクトがあります。
そのうち4件はすでにCeva Santé Animale、Virbac、日本曹達、共立製薬へ導出済みです。
さらに探索段階にあるペット用抗体医薬品11件のうち10件が、国内外の大手動物薬企業との共同研究となっています。すい臓がんを対象としたヒト用抗体の研究も1件進んでいます。

整理すると、「前臨床7件 + 探索段階のペット用11件 + ヒト用1件 = 19件」の研究開発プロジェクトを抱えています。

提携先にはMSD Animal Health、Ceva、Virbac、共立製薬、日本曹達などが含まれ、すでに共同研究や導出契約の実績があります。ここはプラス材料です。

ただし、パイプラインの数をそのまま将来の商品数として見ることはできません。
創薬では十分な有効性や安全性を確認できず、途中で研究や開発を中止する可能性があります。
導出後についても、提携先の判断や試験結果に左右されます。
会社自身も、新薬研究は高い不確実性を伴い、共同研究プロジェクトでは研究進行を自社だけでコントロールできないことなどをリスクとして挙げています。

したがって、19件あるから安心ではなく、複数案件を持つことで1案件への依存を抑えているという見方が適切かもしれません。

2026年3月期は黒字転換|でも毎年黒字とは限らない

業績推移を整理します。

決算期売上高経常利益純利益
2023年3月期約0.04億円▲約1.19億円▲約1.20億円
2024年3月期約0.66億円▲約1.48億円▲約1.48億円
2025年3月期約1.44億円▲約1.04億円▲約1.04億円
2026年3月期約3.38億円約0.36億円約0.36億円
2027年3月期1Q約0.42億円▲約0.37億円▲約0.37億円

2026年3月期は売上高3.38億円で、前年の1.44億円から約2.3倍に増加しました。
経常利益3,643万円、純利益3,613万円となり、赤字から黒字へ転換しています。

売上増加の背景には、新たな共同創薬研究契約、マイルストーン達成、導出契約などがあります。
2026年3月期の主な販売先を見ると、日本曹達が1.30億円で売上の38.5%、MSD Animal Healthが約0.98億円で29.1%、Cevaが約0.70億円で20.8%。3社だけで売上の大部分を占めています。

そして2027年3月期第1四半期は、売上高4,185万円、営業損失3,720万円、純損失3,697万円となりました。
ここがこの会社の数字を見るうえで重要です。MabGenesisの収益は、契約時一時金や研究開発段階でのマイルストーン収入が中心です。

つまり、契約や研究が大きく進んだ時期には売上が増え、その間の四半期では赤字になることもあるということです。
会社も、契約締結や研究進捗のタイミングによって収益が大きく変動する可能性をリスクとして認識しています。
2026年3月期の黒字転換はプラスですが、それだけを見て「安定黒字体質になった」と判断するのは早そうです。

吸収金額約20.6億円|売出しが公募を上回る

想定価格902円で公開規模を計算すると次の通りです。

区分株数想定価格ベース
公募940,700株約8.49億円
売出1,047,200株約9.45億円
OA298,000株約2.69億円
合計2,285,900株約20.62億円

公開規模は約20.6億円。東証グロースとして極端な大型案件ではありませんが、初値が需給だけで跳ねる超小型案件でもありません。
さらに通常売出104万7,200株が、公募94万700株を上回っています。
売出人を見ると、名古屋大学・東海地区大学広域ベンチャー2号投資事業組合が28万5,000株、みやぎん宮崎大学夢応援投資事業有限責任組合と九州広域復興支援投資事業有限責任組合が各20万株など、投資事業組合やファンドが中心です。

IPOで売出しがあること自体は珍しくありません。ただ今回は創薬企業であることに加え、「公募より売出しが多い」ため、初値需給では少し割り引いて見たいところです。

一方、想定価格902円なら100株約9万円。必要資金の低さは、個人投資家が参加しやすい材料になります。

公募資金は研究開発へ|研究費だけで5.42億円

公募とOAに伴う第三者割当まで含めた手取概算額上限は約10.18億円。
資金は研究設備、研究開発、運転資金へ使う予定です。

資金使途金額
研究設備1.20億円
研究開発費5.42億円
運転資金約3.56億円
合計約10.18億円

研究開発費5.42億円は、自社プロジェクトや基盤技術の開発、研究人員、薬効確認試験、試薬・消耗品、大学との共同研究などに投入されます。
運転資金約3.56億円も、研究員以外の人件費、外注費、海外での顧客開拓、海外取引先との情報交換などへ使われます。
借金返済を中心にするIPOではなく、「研究開発と事業拡大のための資金調達」という性格は明確です。

一方、創薬では研究費を使えば必ず成果が出るわけではありません。
資金使途としては分かりやすいものの、その投資がいつ、どの程度収益へ結びつくのかには不確実性があります。

幹事証券|主幹事は東海東京、マネックスも幹事入り

幹事構成は次の通りです。

証券会社役割
東海東京証券主幹事
SBI証券平幹事
丸三証券平幹事
マネックス証券平幹事

東海東京証券が主幹事で、SBI証券、丸三証券、マネックス証券も引受人に入っています。
主幹事の東海東京証券が中心になりますが、SBI証券とマネックス証券も入っているため、個人投資家が複数ルートから抽選へ参加しやすい構成です。

▶ IPOはごちゃごちゃ考えず簡単スタート!|FIRE計画迷走中おじさんの初心者向け証券会社4選 / FIRE計画の羅針盤

特に今回はマネックス証券も正式に幹事入りしています。

▶ MabGenesis(653A)IPOに備えて、幹事入りしているマネックス証券を確認する

マネックス証券


ロックアップ|ファンド株は90日・1.5倍解除

上場前の主要株主には、名古屋大学・東海地区大学広域ベンチャー2号投資事業組合15.96%、九州広域復興支援投資事業有限責任組合13.03%、代表取締役の新庄勝浩氏12.43%、黒澤仁氏12.12%などが並びます。
経営陣や研究者などには、上場日から180日目となる2027年4月30日までロックアップが設定されています。

一方、売出人となる投資事業組合やファンドなどは90日間。ただし、公開価格の1.5倍以上なら期間中でも売却可能です。

公開価格が想定価格と同じ902円なら、1.5倍は1,353円。
初値が1,300円台まで上昇するような強い展開になった場合には、ファンド株の売却可能ラインとして意識される可能性があります。
今回は売出しそのものもファンド系株主が中心なので、1,353円付近は、強い初値になった場合の需給上のチェックポイントとして覚えておきたいところです。

MabGenesis IPOのプラス材料・注意点

ここまでの材料をまとめます。

プラス材料注意点
ペット用抗体医薬という珍しいテーマ創薬特有の研究開発リスク
2026年3月期に黒字転換2027年1Qは再び赤字
複数の研究開発パイプライン収益が一時金・マイルストーンで変動
前臨床7件のうち4件を導出済み上市まで進む保証はない
海外大手動物薬企業との提携売出株数が公募を上回る
100株約9万円で参加しやすい吸収金額約20.6億円
公募資金の中心が研究開発ファンド株は1.5倍で解除
マネックス・SBIも幹事入り当面は無配方針

MabGenesisのプラス材料は、単に「抗体技術があります」で終わっていないことです。
すでに複数の大手企業と共同研究や導出契約を結び、契約一時金やマイルストーンという形で収益化も始まっています。

一方、会社の数字は一般企業ほど読みやすくありません。
契約や研究進捗が集中した年は黒字になっても、研究を続ける期間には再び赤字になる可能性があります。
当面は研究開発資金の確保を優先し、配当は行わない方針です。

したがって、安定黒字や配当を評価する企業ではなく、「研究開発の進捗と新しい提携・導出実績を見る会社」と考える方が分かりやすいでしょう。

初値予想|中心は930円~1,050円

想定価格902円を基準に、初値は次のレンジを予想します。

シナリオ初値予想主な見方
弱い地合い800円~900円創薬IPOへの警戒・売出多めが重い
通常地合い930円~1,050円黒字転換・ペット医療テーマを評価
強い地合い1,100円~1,300円パイプライン・大手提携を高く評価

中心は「930円 ~ 1,050円」と予想します。
想定価格902円に対して、大幅な初値上昇というより、公開価格をどこまで上回れるかを見る案件です。

プラス材料には、ペット用抗体医薬という珍しいテーマ、2026年3月期の黒字転換、大手動物薬企業との共同研究、4件の導出実績があります。

一方、吸収金額約20.6億円、公募より多い売出し、収益の変動性、ファンド株の1.5倍解除は上値を抑える材料です。
また、2026年3月期の利益を使ってPERを計算するとかなり高い水準になりますが、そもそも契約一時金やマイルストーンによって利益が大きく変わる会社です。

通常の安定黒字企業と同じPERだけで割高・割安を判断するのは難しいでしょう。
仮条件が想定価格902円からどのように設定されるかも、初値を見るうえで重要になります。

独身おじさんの最終判断|評価B-、BB参加

MabGenesis(マブジェネシス・653A)は、ペット用抗体医薬品というIPOでは珍しい事業を持っています。
前臨床段階に7件、そのうち4件はすでに導出済み。さらに探索段階でも複数の大手動物薬企業と共同研究を進めており、研究成果を企業との契約へつなげた実績があります。

2026年3月期には売上高3.38億円まで伸び、黒字転換しました。
ただし、この黒字を一般企業のように「利益成長が始まった」と単純には見られません。
契約や研究進捗によって売上が変わり、2027年3月期第1四半期は再び赤字です。

需給面でも、吸収金額約20.6億円、公募を上回る売出し、ファンド株の1.5倍ロックアップ解除と、強気一辺倒になりにくい材料があります。

以上からIPO評価は「B-」。BBスタンスは「様子見」とします。
「黒字転換したバイオだから強い」のではなく、「大手との提携実績は評価できるが、創薬特有の業績変動と需給リスクも大きいIPO」という位置づけです。

100株の必要資金は約9万円なので、抽選への参加ハードル自体は低め。
初値狙いなら公開規模、仮条件、ロックアップを確認する。上場後まで保有するなら、研究開発の進捗、新たな共同研究、導出契約を見る。この二つは分けて考えたいIPOです。

こちらの記事もあわせてどうぞ

▶ IPO投資は本当に安全?|独身中年男がリスクと現実を徹底解説 / FIRE計画の羅針盤
・IPOでも公開価格を下回ることがあります。公募割れや上場後の値動きなど、IPO投資で押さえておきたい基本的なリスクを整理しています。

▶ IPO目論見書の見方はここだけでいい?|公募割れを避けたい独身おじさんの簡単チェックリスト / FIRE計画の羅針盤
・公開規模、公募・売出、資金使途、株主、ロックアップなど、IPOで確認しておきたい基本項目をまとめています。

▶ IPOはごちゃごちゃ考えず簡単スタート!|FIRE計画迷走中おじさんの初心者向け証券会社4選 / FIRE計画の羅針盤
・IPO抽選へ継続的に参加する場合に、主幹事・平幹事を含めた証券口座の使い分けを整理しています。

※本記事は2026年9月29日時点のMabGenesis株式会社の新株式発行並びに株式売出届出目論見書等の公開情報をもとに作成しています。仮条件、公開価格、公開株数等は今後決定・変更される可能性があります。
※本文中の吸収金額約20.6億円、想定時価総額約72.7億円等には、想定発行価格902円および公開予定株式数をもとにした筆者による単純試算が含まれます。
※本文中の初値予想800円~1,300円、中心予想930円~1,050円、IPO評価B-、BB参加という記載は公開情報をもとにした筆者の考察であり、将来の初値、株価、研究開発の成功または投資成果を保証するものではありません。
※本記事は特定の金融商品、IPOへの申込み、株式の購入・売却または売買タイミングを推奨するものではありません。創薬企業への投資には、公募割れ、価格変動、研究開発の中止・遅延、提携契約の変更・終了、追加資金調達による希薄化などのリスクがあります。最新の公開情報をご確認のうえ、ご自身で投資判断を行ってください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました