「損益通算できないからNG」は本当?|新NISAで“勝ち株だけ非課税”を狙う無理ゲー / FIRE計画の羅針盤

青基調の実写風アイキャッチ。メガネをかけた中年男性が、ゲームセンターの「新NISA」と書かれたクレーンゲーム機の前で頭を抱え、イライラした表情をしている。クレーンの景品には「勝ち株」「超優良株(夢の非課税!)」などと書かれた箱やコイン、株価チャート風のアイテムが並び、アームは弱々しく景品をうまく掴めていない。画像内には「『損益通算できないからNG』は本当?」「新NISAで“勝ち株だけ非課税”を狙う不可能ゲーム」「FIRE計画の羅針盤」といった文字が入り、新NISAで勝ち株だけを選びたい投資家の悩みを表現している。 FIRE計画の羅針盤

新NISAについて調べていると、「個別株はNISAで買わない方がいい」という意見を見かけることがあります。
その理由としてよく挙げられるのが、「NISA口座で出した損失は、特定口座や一般口座で出した利益と損益通算できない」ことです。

これは制度上その通りです。金融庁も、NISA口座で発生した損失について、特定口座や一般口座で保有する上場株式等の売却益や配当等との損益通算はできず、損失の繰越控除もできないと案内しています。
国税庁も同様に、NISA口座内の上場株式等を売却したことで生じた損失については、損益通算や繰越控除の対象にならないとしています。

では、ここからすぐに「だから新NISAで個別株を買うのは損」、「NISAはインデックス投資だけに使うべき」と結論づけていいのでしょうか。私は、そこには一段飛躍があると思います。
そもそもNISAは、損をしたときに救済してくれる制度ではありません。
投資によって利益が出たときに、本来かかる税金を非課税にする制度です。
金融庁によれば、通常は株式や投資信託の売却益や配当・分配金に約20%の税金がかかる一方、NISA口座で得た運用益は非課税になります。

つまり、NISAには最初から少し変わった非対称性があります。
利益が出れば、税制メリットがある」。「損失が出ても、その損失を税務上使うことはできない」。

では、値動きの大きい個別株をどこへ置くべきなのか。
できることなら、将来大きく上がる銘柄だけをNISAへ入れ、下がる銘柄は特定口座へ入れておきたいところです。

しかし、それが事前に分かるなら投資で苦労はしません。
新NISAで個別株を買うかどうかという問題の面白さは、実はここにあります。
勝ち株だけNISA、負け株だけ課税口座」にしたい。でも、買う時点ではどちらが勝つか分からない。

今回はこの「勝ち株だけ非課税」という不可能ゲームから、新NISAの損益通算、個別株、特定口座との使い分け、成長投資枠、そして40代FIREの資産設計まで考えてみます。

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まず整理したい|NISAで損すると「損失そのものが大きくなる」わけではない

最初にここを整理しておかないと、新NISAの損益通算について少し誤解しやすくなります。
例えば100万円で買った株が70万円になり、30万円の損失を確定したとします。
NISAでも特定口座でも、経済的には30万円の損です。NISAで買ったから株価が余計に下がるわけではありませんし、30万円の損失が40万円へ膨らむわけでもありません。

違うのは、その30万円を「税務上利用できる可能性があるかどうか」です。
課税口座で一定の要件を満たす上場株式等の譲渡損失が生じた場合、他の上場株式等の譲渡益や、申告分離課税を選択した一定の配当等と損益通算できる場合があります。
さらに、損益通算しても残った一定の譲渡損失については、確定申告等の要件を満たせば翌年以後3年間の繰越控除が可能です。一方、NISA内の損失にはこの扱いがありません。

簡単な例で考えてみます。今年、A株で100万円の利益が出て、B株で80万円の損失が出たとします。

口座の置き方A株+100万円B株▲80万円税制上のイメージ
両方とも一定の課税口座課税対象要件を満たせば損益通算可能差し引き20万円を基礎に課税関係を考えられる場合がある
両方ともNISA売却益は非課税損失は損益通算不可A株の利益への税金もないため、NISA内ではそもそも利益課税との相殺を考える必要がない
A株がNISA、B株が課税口座100万円の利益が非課税課税口座の損失として利用できる余地結果だけ見ればかなり都合がいい
A株が課税口座、B株がNISA100万円に課税80万円のNISA損失は通算できない最も悔しい配置になりやすい

ここで大切なのは、「NISAでは損益通算できない」という一点だけを見て、「NISAそのものが損失に弱い制度だと考えないこと」です。
例えばA株もB株もNISAに入っていたなら、B株の80万円を損益通算できなくても、A株の100万円の利益にそもそも税金がかかりません。
この場合、「損益通算できないせいで大変な損をした」という説明は少し違います。

本当に悔しいのは、表の一番下、「勝った株を課税口座に置き、負けた株だけNISAへ置いてしまった場合」です。
利益には税金がかかるのに、NISA側の損失はその税金を減らすために使えません。
反対に、勝ち株をNISA、負け株を課税口座へ置ければ非常に都合がいい。
大きな値上がり益は非課税になり、負け株の損失には課税口座側で税務上利用できる余地が残ります。
問題は、それを「買う前には選べない」ことです。ここから、新NISAで個別株を買う難しさが始まります。

投資家の理想は「勝ち株だけNISA」だが、未来を見てから口座は選べない

仮に、これから10年間で10倍になる株が分かっているとします。
そんな銘柄が本当に分かっているなら、NISAへ入れたいでしょう。
100万円が1,000万円になれば、900万円の値上がり益です。通常の課税口座で上場株式等の譲渡益に20.315%の税率が適用されるケースなら、単純計算では約183万円に相当する税負担が関係してきます。NISAなら、その売却益は非課税です。

それなら、「値上がりしそうな個別株ほどNISAへ入れればいい」と考えたくなります。
しかし、その銘柄が10倍になると分かるのは、たいてい10倍になった後です。
買った時点では、10倍になるかもしれない。横ばいかもしれない。半値になるかもしれない。業績悪化で長期間低迷するかもしれない。最悪の場合には上場廃止などで大きな損失になるかもしれない。複数の未来が残っています。
この状態で「将来利益になるものだけNISAへ」と考えること自体が矛盾しています。

ここが、個別株とNISAを考えるときの本当の難しさです。
NISAで個別株を買う問題とは、勝つ銘柄を選べるかではなく、「未来が分からない状態で“どのリスクを非課税口座へ置くか”を決めなければならない問題」なのです。

この視点に変えると、「損益通算できないから個別株はNG」という話より、もう少し実態が見えてきます。
個別株そのものがNISAと相性が悪いのではありません。
大きな値上がり益が出れば、むしろ非課税メリットは大きくなる可能性があります。
しかし個別株は、企業固有のリスクも大きい。その損失をNISAでは税務上利用できません。

上振れの非課税メリットと、下振れ時に損失を使えないデメリットを、買う前に同時に引き受ける」、これが新NISAで個別株を持つということです。

「何を買うか」と「どの口座で買うか」は別の問題

投資では「資産配分」という言葉をよく使います。
株式を何%持つか。現金を何%持つか。日本株と米国株をどう分けるか。オルカンやS&P500をどこまで持つか。
これは「何を保有するか」という問題です。

しかしNISAと特定口座を両方使うようになると、もう一つ別の問題が出てきます。
同じ商品でも、「NISAで持つのか、特定口座で持つのか、どちらへ優先的に入れるのか」という「資産の置き場所」です。

例えば、投資資産が全部NISAの非課税枠へ収まる人なら、そこまで悩まなくてもいいかもしれません。
しかし資産形成が進み、新NISAの年間投資枠や非課税保有限度額を超えて投資するようになると、NISAと特定口座の両方を使うことになります。
2026年時点の成人向けNISAでは、年間投資枠はつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円で、合計年間360万円。非課税保有限度額は合計1,800万円で、そのうち成長投資枠のみの上限は1,200万円です。

つまり、ある程度資産が増えれば、「何を買うか = 資産配分」だけでなく、「どこで持つか = 口座配分」も考える必要が出てきます。

例えば個別株を20銘柄持っていて、そのうち一部をNISA、一部を特定口座に置く。
そのとき、結果としてどちらの口座に勝ち株が多くなるかによって、税引き後の結果は変わります。

しかし事前に勝ち株を識別できない。だから口座配分には、どうしても不確実性があります。
新NISAについて「何を買えば一番得ですか?」という質問が難しいのは、このためでもあります。
将来の値上がり率まで分かっていれば税制上の最適配置を作れますが、その一番大切な変数が分からないのです。

NISAとは、「未来が分からないまま税制上の置き場所を決める制度」でもある。
そう考えると、「正解の商品を当てればいい」という発想から少し離れられます。

成長投資枠は「成長株を当てる枠」ではない

ここで名前に少し注意したいのが、新NISAの「成長投資枠」です。
成長」という文字を見ると、なんとなく成長株、テーマ株、個別株、テンバガー候補などを買うための枠に見えてしまいます。

しかし制度上、そういう意味ではありません。金融庁によれば、成長投資枠では上場株式、投資信託、ETF、REIT等が対象となり、整理・監理銘柄や一定の投資信託等は対象外です。
つまり「成長株だけを買う枠」なのではなく、つみたて投資枠より「幅広い商品を利用できる枠」です。
ここを取り違えると、「せっかく成長投資枠なんだから、オルカンなんて買わずに大化け株を狙おう」という発想が出てきます。

でも、制度の名前と投資商品のリスクは別の話です。
成長投資枠を使って投資信託を買ってもいいし、個別株を買ってもいい。
何を入れるかは、自分の資産配分やリスク許容度によって決めればいい。

つまり、「成長投資枠を“非課税の宝くじ売り場”にする必要はない」、これは結構大切です。
もちろん宝くじ的な個別株投資そのものを否定するつもりもありません。
余裕資金の一部で、自分が調べた企業へ投資する楽しさもあります。

ただし、「成長投資枠だからハイリスクな成長株を買う」という順番は逆です。
先に、「この資産を持ちたい」がある。その次に、「どの口座へ置くのが自分に合っているか」を考える。
制度名から投資対象を決めるのではなく、投資目的から口座を選ぶ方が自然です。


それでもインデックス投資がNISAと相性よく見える理由

ここまで「個別株NGとは言い切れない」と書いてきましたが、それでも新NISAではオルカンやS&P500などのインデックスファンドを中心にする人が多いのには、それなりの理由があります。

ポイントは、「インデックスなら絶対に損しない」からではありません。
当然ながらインデックスファンドも値下がりします。相場全体が暴落すれば大きな含み損になりますし、NISA内で売却損を確定しても損益通算できない点は個別株と同じです。
それでも、広く分散されたインデックス投資なら、一社の不祥事、一社の業績悪化、一社の上場廃止によって投資資産の大部分が壊れるリスクを抑えやすい。

さらに、「頻繁に銘柄を入れ替える必要がなく、長期間持ち続けやすい」、これがNISAの仕組みと相性がいい。
NISAの価値は、数週間で売買して小さな利益を非課税にすることよりも、長期間かけて積み上がった運用益を非課税にできるところにあります。
金融庁も資産形成の基本として長期・積立・分散投資を案内しており、長期運用では複利効果が期待できると説明しています。

だから、「個別株だからNISAに向かない」というより、「分散され、長期間保有しやすい商品ほど、NISAの非課税という仕組みを使いやすい」と考えた方が正確でしょう。

これは似ているようで少し違います。個別株でも、自分が十分理解していて長期保有するつもりの企業ならNISAで持つ合理性はあります。
反対に、インデックスファンドでも短期間で売買を繰り返すなら、NISAの長期非課税という強みを十分生かしているとは言いにくいです。

つまりNISA適性は、商品名だけでは決まりません。「長く持てるか」、「大きな利益が出たとき非課税メリットを生かせるか」、「下落時に損益通算できなくても持ち続けられるか」まで含めて考える必要があります。

個別株をNISAで持つのが合理的な人もいる

では、どんな場合なら個別株をNISAへ入れるのも合理的なのでしょうか。

一つは、「短期売買ではなく、長期間持ちたい企業が明確な場合」です。
業績や財務、事業内容を理解し、多少の値下がりがあっても保有し続けるつもりがある。
それなら、将来の値上がり益が非課税になるメリットを狙う考え方は十分あります。

高配当株を長期間持つ場合」も、NISAを使う意味があります。
通常、上場株式の配当等には20.315%の税率が関係しますが、NISAの対象となる配当等は非課税です。
ただし国内上場株式の配当をNISAで非課税にするには、原則として証券会社の口座で受け取る「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。
銀行口座で受け取る方式などでは、NISA口座の株式でも配当が非課税にならない場合があります。
これは個別株を新NISAで買う人なら、意外と見落としたくない実務ポイントです。

ただし高配当だから自動的にNISA向きというわけでもありません。
配当利回りが高くても株価が大きく下落すれば、トータルでは損失になります。減配や無配の可能性もありますし、一銘柄へ集中すれば企業固有リスクも大きくなります。

だから「高配当だからNISA」、「成長株だからNISA」という商品ラベルだけで決めるより、「その株をFIRE資産全体の中で何のために持つのか」を先に考えた方がいいでしょう。



FIRE民にとっては「どれが一番儲かるか」より出口まで持てるかが重要になる

20代や30代の資産形成なら、長い運用期間を前提に「どれだけ資産を増やすか」を強く意識してもいいでしょう。
しかし40代でFIREを目指していると、NISA資産は単なる投資残高ではありません。いずれ生活費として使う可能性があるお金です。

FIRE直前やFIRE後には、給与という大きなキャッシュフローがなくなります。
相場が上がっているときは問題ありませんが、暴落中でも生活費は必要です。
そこでNISAの中身が特定の個別株へ大きく偏っていたらどうなるか。

その企業だけ大きく下落している。でも生活費が必要なので売らなければならない。
損失はNISAなので損益通算できない。そして売却した資金は生活費へ回る。
こうなると、「いつか戻るまで待つ」という会社員時代の選択肢を取りづらくなることがあります。

もちろんインデックス投資でも暴落はあります。オルカンだから安全という話ではありません。
ただ、一企業だけの問題によって資産の一部が大きく崩れるリスクと、市場全体の下落は性質が違います。

FIRE民がNISAへ何を入れるか考えるなら、「最大リターンを狙えるか」だけでなく、「将来、生活費へ変える資産として持ち続けられるか」を見る必要があります。

ここは普通の「新NISAおすすめ商品ランキング」とはかなり違うところです。
FIREでは、最後に使います。永遠に証券口座の中で眺めるための資産ではありません。

新NISAは売ったらもったいない?|FIRE後にハマる「NISA資産の聖域化」 / FIRE計画の羅針盤

だから、40代FIREで考えるなら、NISAを「一番儲かりそうなものを入れる箱」と見るより、「将来の生活資産を税制上有利に育てる場所」として考えた方が扱いやすいと思います。
そこへ個別株を入れてはいけないわけではないですが、その個別株がFIRE後の生活まで背負えるかは別の問題です。

個別株は特定口座、インデックスはNISAなら必ず正解なのか

ここまで読むと、「では結局、インデックスファンドをNISAに入れて、個別株は全部特定口座にすればいいのでは?」と思うかもしれません。

これは非常に分かりやすい方法ですし、管理もしやすい。でも「必ず税制上最適」とまでは言えません。
例えば特定口座へ置いた個別株が10倍になり、NISAへ置いたインデックスファンドが1.5倍になったなら、「個別株をNISAへ入れておけばよかった」と結果論では言えます。
反対に、NISAへ入れた個別株が半値になり、特定口座のインデックスが大きく上がれば、「逆にしておけばよかった」と思うでしょう。

どちらも後からなら簡単です。この問題には完全な答えがありません。
なぜなら、「口座配分の最適解は将来のリターンによって変わるのに、そのリターンが事前には分からない」からです。

だから私は、新NISAと特定口座の使い分けでは「税引き後リターンを完璧に最大化する」ことを目指しすぎない方がいいと思っています。

  • 長期保有しやすい資産をNISAへ置く
  • 頻繁に売買する可能性が高いものは課税口座も検討する
  • 損益通算できないと困るほど大きな個別リスクをNISAへ集中させない
  • FIRE後まで持ち続けたい資産を優先する

こうしたルールの方が再現性があります。

投資の世界では「最適解」を探すほど、未来予知が必要になることがあります。NISAの口座配分もその一つです。
完璧な税制配置より、「未来を外しても壊れにくい配置を作る」、40代のFIRE資産なら、こちらの方が大切だと思います。

「勝ち株を当てる」ではなく「外しても困らない」NISAにする

では実際に、新NISAで個別株を買うか迷ったら何を基準にすればいいのでしょうか。
商品名ではなく、いくつかの質問を自分にしてみると分かりやすいと思います。

確認したいこと考えるポイント
長期間保有するつもりがあるか短期で売る可能性が高いなら、長期非課税のメリットを生かしにくい
大きく下落しても持ち続けられるかNISAの損失は損益通算・繰越控除できない
一企業へ集中しすぎないかFIRE資産の中で個別企業リスクが大きくなりすぎないか確認する
利益が出た場合の非課税メリットを生かせそうか値上がり益や一定の配当等が非課税になるメリットを考える
FIRE後も保有したい資産か将来の取り崩し資産として持ち続けられるかを見る
負けたときに「特定口座ならよかった」と後悔しすぎないか税制上の不利を理解したうえで持てるかを確認する

この中で「全部YESでなければNISAで買うな」という話ではありません。

投資には必ず不確実性があります。重要なのは、何となく「非課税だから得」でNISAへ入れるのでも、「損益通算できないから危険」で避けるのでもなく、「NISAに置いた場合に何を得て、何を失うのかを理解すること」です。

例えばインデックス投資を資産形成の中心にしている人なら、NISAをまずそのコア資産で使い、個別株は特定口座で楽しむという方法はかなり分かりやすい。
一方、個別株を長期保有し、企業分析も楽しみの一つにしている人なら、成長投資枠の一部を個別株へ使うこともあり得ます。
高配当株を長期で持ち、配当をFIRE後のキャッシュフローへつなげたい人なら、一定の条件を確認したうえでNISAを使う意味もあります。

投資スタイルNISAの使い方を考える一例
インデックス中心NISAを長期・分散されたコア資産から優先して使う
個別株も楽しみたいコア資産と個別株を分け、個別株へのNISA配分を大きくしすぎない
高配当株中心配当非課税のメリットと集中・減配リスクの両方を見る
短期売買が多いNISAを頻繁な売買の主戦場にする必要があるか考える
FIRE直前期待リターンだけでなく、取り崩しやすさと値動きの偏りも重視する

要するに、「NISAに向いている商品」を探すより、「自分がNISAに求めている役割」を先に決める方がいい。
これなら、個別株かインデックスかという二択から少し自由になれます。

NISA満額後まで考えると「口座の役割分担」がもっと重要になる

40代からFIREを目指し、毎年ある程度まとまった投資を続けていると、やがてNISAだけでは投資資金を置き切れなくなることがあります。そこで特定口座の出番になります。

この段階になると、「NISAと特定口座はどちらが得?」という問い自体が少しズレてきます。両方使うからです。
NISAには非課税という強みがあります。特定口座には課税される一方、一定の損失について損益通算や繰越控除を利用できる可能性があります。役割が違います。

NISAを「絶対に得な口座」、特定口座を「税金を取られる負け口座」と考える必要はありません。
特定口座には特定口座の柔軟性があります。そしてFIRE後は、どの口座から何を売却するかによって、税金や手取り、場合によっては確定申告などとの関係も出てきます。

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だから、資産形成が進むほど「全部NISAなら解決」という世界ではなくなります。
NISA。特定口座。現金。iDeCo。それぞれ役割が違う。今回の個別株問題も、その中の一つです。

NISAなら個別株はダメ」と単純化するより、「NISAには長期で育てたい資産」、「課税口座には税制上の柔軟性を残したい資産」を置くくらいの考え方から始める方が現実的でしょう。

もちろん、これも絶対ルールではありません。未来の相場が分からない以上、完全な正解は作れません。
その不完全さを受け入れることこそ、新NISAを長く使うコツなのかもしれません。

まとめ|NISAは「勝ち株を入れる箱」ではなく、未来が分からないまま使う非課税口座

新NISAで個別株を買うと、損失が出た場合に特定口座等の利益との損益通算はできません。損失の繰越控除もできない。これは制度上の事実です。

だからといって、「損益通算できない = NISAで個別株はNG」と一直線に結論づけると、少し単純化しすぎます。
個別株が大きく上昇すれば、その値上がり益が非課税になるメリットも大きくなります。
高配当株なら、一定の条件を満たした配当を非課税で受け取れるメリットもあります。

つまり個別株には、「上に大きく行けばNISAのメリットが大きい」、「下に大きく行けばNISAでは損失を税務上使えない」という両面があります。

理想を言えば、将来上がる株だけNISAへ入れ、下がる株だけ特定口座へ入れたい。
でも、それはできません。「未来を知ってから口座を決められない」からです。

だから新NISAで本当に考えるべきなのは、「個別株かインデックスか」という商品対決だけではありません。
どんな資産を持つのか。どれくらい長く持つのか。どの程度の下落に耐えられるのか。NISAと特定口座のどちらへ置くのか。そしてFIRE後、その資産をどう使うのか。ここまで含めて考える。

資産形成では「何を買うか」に目が向きますが、資産が増えてくるほど「どこに置くか」も重要になります。
そしてそこには完璧な正解がありません。
10年後に大化けした銘柄を見て、「これをNISAに入れておけばよかった」と思うことはあるでしょう。
暴落した銘柄を見て、「こっちは特定口座にしておけばよかった」と思うこともある。
でも、それは未来を見た後だから言えることです。

買う時点の自分には、その未来は見えません。だから40代FIREで目指したいのは、勝ち株を完璧にNISAへ入れることではなく、「予想を外してもFIRE計画が壊れないこと」なのだと思います。
長期で持ちやすい。分散されている。必要以上に一企業へ依存しない。FIRE後に生活費へ変えやすい。そして、自分が理解できる。
そんな資産をNISAの中心にしておけば、大当たりを引けなくても非課税制度の恩恵を長く受けやすくなります。

個別株を入れるなら、自分がそのリスクを分かったうえで入れる。
特定口座を使うなら、税金を取られるから仕方なく使うのではなく、損益通算を含めた柔軟性を持つ別の箱として使う。

新NISAをそこまで大げさな「正解探し」にしなくてもいいのではないでしょうか。
結局、NISAは未来を当てた人だけが使える制度ではありません。
勝ち株だけを非課税にすることはできない。だからこそ、勝ち株を当てなくても続けられる使い方を作る。
FIREを目指す40代にとっては、その方がずっと再現性のある新NISA戦略だと思います。

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※本記事は2026年9月時点の制度・公表情報をもとに、新NISAと個別株、損益通算等について一般的な考え方を整理したものです。NISA制度や税制は今後変更される可能性があるため、実際の取引時には金融庁、国税庁、利用する金融機関等の最新情報をご確認ください。
※NISA口座で生じた損失については、特定口座・一般口座の上場株式等の譲渡益や配当等との損益通算および損失の繰越控除はできません。一方、課税口座の損益通算や繰越控除には対象となる所得、申告方法その他の要件があります。個別の税務判断については税務署や税理士等の専門家への確認をご検討ください。
※国内上場株式、ETF、REIT等の配当・分配金についてNISAの非課税扱いを受けるには、受取方法等に一定の条件があります。利用する証券会社の設定をご確認ください。
※本記事は特定の個別株、投資信託、ETFその他の金融商品への投資を推奨するものではなく、将来の運用成果を保証するものでもありません。投資には元本割れや価格変動等のリスクがありますので、商品内容、手数料、税制、家計状況、投資目的、リスク許容度等を確認したうえで、ご自身の判断で行ってください。

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