「AIで仕事がなくなる」、最近、何度この言葉を見たでしょうか。
生成AIが文章を書く。画像を作る。資料をまとめる。データを分析する。プログラムを書く。問い合わせにも答える。
これまで人間が何時間もかけていた仕事を、AIが数分で終わらせる場面も増えてきました。
そこで出てくるのが、「ホワイトカラーの仕事がなくなる」、「事務職はいらなくなる」、「AIに仕事を奪われる」という未来予測です。
ところが、その一方で日本では別のニュースも毎日のように流れています。
人手不足。採用難。介護職員が足りない。建設作業員が足りない。物流を担う人が足りない。サービス業でも人が集まらない。管理職もデジタル人材も足りない。
少し変ではないでしょうか。「AIで人が余るのか」、「人手不足になるのか」、いったいどっちなんだ。
普通に考えれば矛盾しています。しかし、おそらくこれからの日本では、両方が同時に起きます。
AIによって必要な人数が減る仕事がある一方で、どうしても人が足りない仕事も残る。
一つの職業が完全になくならなくても、その中の一部の業務だけAIへ移る。
逆にAIを使える人、現場を動かせる人、責任を引き受けられる人、顧客や組織を調整できる人の価値は上がるかもしれない。
問題は日本から「仕事」がなくなることではなく、「余る仕事と足りない仕事が同時に存在すること」なのではないでしょうか。
そして、そこへもう一つ変化を加えてみます。FIREです。
働かなくても生活できる資産を持つ人が増えれば、労働者は必ずしも、「会社が言う条件で働き続けなければ生活できない人」ではなくなります。
会社を辞めても食べられる。転職活動が長引いても耐えられる。役職を断ってもいい。待遇が悪化したら辞められる。仕事そのものが嫌なら、一度降りることもできる。
これは単なる「早期リタイア」の話ではありません。「辞められるのに、条件が良ければ働く」、そんな会社員が増えたとき、企業と労働者の関係は今までと少し変わる可能性があります。
この記事でいう「辞められる力」とは、会社を辞める勇気や根性のことではありません。
また、会社に対して強気な態度を取ることでもありません。
「仕事を失っても生活がすぐ破綻しないだけの経済的余力と、別の働き方を選べる選択肢を持っている状態」を指します。
そしてタイトルにある「FIREできる人が強くなる」の「強い」も、必ず給料が上がる、会社との交渉に勝てる、転職に成功するという意味ではありません。
「嫌な条件に『NO』と言える選択肢が増える」、その意味での強さです。
AI、人口減少、人手不足、40代の転職、そしてFIRE。一見バラバラに見えるテーマをつなぐと、これからの会社員にとって意外と重要な未来が見えてきます。
AIで仕事がなくなるのに、人手不足が続くのはなぜなのか
まず、「AIで仕事がなくなる」という話を少し冷静に見てみます。
ILO(国際労働機関)が2025年に公表した生成AIと雇用に関する研究では、世界の労働者のおよそ4人に1人が、何らかの形で生成AIの影響を受け得る職業に就いていると推計されています。
ただしILOが強調しているのは、多くの仕事では完全な代替より「仕事の変化」が起こる可能性の方が高いということです。
事務職などは特にAIへの露出度が高く、デジタル化された専門職・技術職にも影響が広がっています。
つまり、「AIが職業を丸ごと消す」だけではありません。
例えば経理担当者がいなくなるのではなく、入力や集計の一部がAI化される。
企画担当者が消えるのではなく、資料のたたき台や情報整理をAIが担う。
プログラマーが全員不要になるのではなく、コード生成をAIに任せ、人間は設計や確認へ比重を移す。
仕事は、「職業単位ではなく、業務単位で削られていく」可能性があります。
一方、日本の人手不足は一時的な景気問題ではない
では、「人手不足」はどうでしょう。
厚生労働省は2024年版労働経済白書で、現在の人手不足を、人口減少による日本全体の労働力不足という「マクロの問題」と、特定の産業・職業へ人が集まらない「ミクロの問題」に分けています。
そして2025年版の労働経済白書では、調査対象企業の約71%が事業継続のための人手に不足感を持ち、約73%が新規事業を進めるための人手にも不足感を感じていました。
不足が特に強いのは現場の技能職、営業・販売・サービス職で、マネジメント層やデジタル化を担う人材にも不足がみられます。
つまり、「人が足りない」というより、「必要なところに必要な人が足りない」という状態です。
しかも人口そのものが減ります。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計では、15~64歳人口は2020年の7,509万人から減少を続け、出生中位・死亡中位の推計では2032年に7,000万人、2043年に6,000万人、2062年に5,000万人を割り、2070年には4,535万人まで減少するとされています。
もちろん将来推計なので実際の人口は出生、死亡、外国人の流入などによって変わります。
それでも、「働き手が豊富に余る社会を前提にはしにくい」のは確かです。
AIと人手不足は、実は敵同士ではない
ここまで来ると矛盾が解けます。AIは、人手不足を悪化させるだけの存在ではありません。
むしろ「人手不足だからAIが必要になる」面があります。
内閣府に提出された2040年の産業・就業構造推計では、人口減少で労働供給が減る一方、AIやロボットの活用、リスキリングなどによって不足を補えるシナリオが示されています。
同時に、現在の人材供給傾向がそのまま続けば、「職種間で人材のミスマッチが起こるリスク」も指摘されています。
AIによって事務作業が10人分減る。だからといって、その10人が明日から介護士、建設技能者、IT人材、営業責任者として働けるわけではありません。
勤務地も違う。資格も違う。経験も違う。給与条件も違う。本人の希望も違う。
| 起きること | どういう状態か |
|---|---|
| AIで減る業務 | 入力、検索、資料作成、定型分析など、一部の知的作業をAIが代替・支援する |
| 人が足りない仕事 | 現場技能、介護、サービス、営業、マネジメント、デジタル人材などで不足が続く可能性がある |
| 新しく必要になる仕事 | AIの利用設計、確認、顧客対応、組織調整、責任判断などが重要になる |
| 余る可能性のある人材 | 以前の業務の一部が縮小したものの、別職種への移動が難しい人 |
| 不足する人材 | 企業が必要としている能力・経験を持ち、その条件で働く意思のある人 |
要するに、「AI時代 = 人間が余る社会」ではなく、「人間の配置が難しくなる社会」と考えた方が分かりやすい。
そして、この配置のねじれが大きくなるほど、会社員側にも新しい選択肢が生まれます。
▶ AI上司・AI部下の時代はFIREの敵か?味方か?|AIに使われ、AIを使う40代会社員の生存戦略 / FIRE計画の羅針盤
AIが職場へ入ってきたとき、40代会社員が「AIに使われるだけの人」ではなく、自分もAIを使う側に回る重要性はこちらで整理しています。
40代会社員の価値は「作業量」から「配置できる能力」へ変わっていく
AI時代の話になると、「AIを使える若者に40代は勝てない」という話になりがちです。
確かに新しい技術への習熟では、若い人が有利になる場面もあるでしょう。
しかし、40代会社員には別の蓄積があります。顧客との関係。業界知識。過去の失敗。社内外の調整経験。契約や制度への理解。トラブルが起きたときの勘所。誰に何を聞けば物事が動くかという知識。
そして、最終的に誰かが判断しなければならない場面での経験です。
AIが強くなるほど、こうしたものがすべて不要になるとは限りません。
むしろAIによって、「作業ができる人」と「仕事を成立させられる人」の違いがはっきりする可能性があります。
例えば10ページの資料を作る能力。これまでは価値がありました。
しかしAIがかなりの部分を作れるようになれば、「誰に向けた資料なのか」、「何を決めてもらいたいのか」、「この数字は本当に使っていいのか」、「関係部署は納得するのか」、「トラブルが起きたら誰が責任を持つのか」の方が価値を持つかもしれません。
AIに指示を出す能力だけでは足りない。「AIが出した答えを現実の組織へ接続する能力」が必要になる。
これは必ずしも20代だけが持っている能力ではありません。
ただし「40代だから価値がある」わけでもない
長く会社にいた。それだけで市場価値が上がるわけではありません。
社内だけで通じる特殊な手続きしか知らない。AIを拒否する。新しい仕事を覚えない。肩書だけで仕事をする。
こうなれば、勤続年数が長いことがそのまま武器になるとは言えません。
40代の強みになるのは、「経験を持っていることではなく、その経験を新しい環境へ接続できる」ことです。
これは転職でも同じです。厚生労働省の2025年上半期の雇用動向調査では、転職した40~44歳のうち、前職より賃金が増えた人は47.7%、減った人は23.5%。45~49歳でも増加41.1%、減少28.1%でした。
もちろん転職者だけを対象にした数字であり、「40代なら転職すれば給料が上がる」という意味ではありません。
50代になると賃金減少側が増えるなど、年齢による違いもあります。
ただ、「40代になった瞬間に労働市場で完全に身動きが取れなくなる」というほど単純でもないことは分かります。
会社員としての経験を外でも使える形へ翻訳できるなら、まだ選択肢は残っています。
そしてここへ「資産」が加わると、話がさらに変わります。
FIREできる資産は「退職資金」であると同時に、労働市場での選択肢になる
一般的なFIREの説明では、3,000万円、5,000万円、1億円といった資産を作り、その運用収入や取り崩しで生活することを考えます。
つまり資産は、「会社を辞めたあと使うお金」です。
でも、私はそれだけではないと思います。FIRE資産は会社員でいる間にも働いています。
例えば生活費が年間240万円の人に5,000万円の金融資産がある。
完全FIREできるかどうかは、年齢、資産配分、公的年金、税・社会保険などによって変わるので別問題です。
ただ、「来月給料がなくなったら即座に家賃を払えない人」とは明らかに状況が違います。
この違いが、「辞められる力」になります。
「辞められる力」は残高ではなく、会社依存度の低さ
分かりやすく整理すると、こんな感じです。
| 状態 | 会社への依存度 | 取れる選択肢 |
|---|---|---|
| 貯蓄がほとんどなく毎月の給与が必要 | 非常に高い | 退職・休職・転職活動の長期化が家計へ直撃しやすい |
| 生活防衛資金がある | 少し下がる | 短期間なら仕事から離れる余地がある |
| 数年分の生活費を支えられる資産がある | さらに下がる | 転職、休職、条件変更などを検討しやすい |
| FIRE可能性を検討できる資産がある | かなり低い | 「働かない」という選択肢まで現実味を持つ |
| 資産+外でも使える能力がある | 最も低くなりやすい | 働く、辞める、移る、休むを比較して選びやすい |
ここで重要なのは、「FIREラインへ到達しなければ意味がないわけではない」ことです。
5,000万円なければゼロ。5,000万円になった瞬間100。ではありません。
500万円でも1,000万円でも、生活の余裕は変わります。
だから資産形成は、「完全FIREへの距離を縮めるだけでなく、会社との距離を少しずつ広げる作業」とも言えます。
▶ FIREまでは遠い…でもFUマネーがあれば会社に魂を売らずに済む / FIRE計画の羅針盤
「個人に辞められる力がある」、そして「企業側では人が足りない」、この二つが重なったら何が起きるでしょうか。
人手不足企業は「辞めても困らない人」を引き留める必要が出てくる
2025年版労働経済白書では、人手不足への対応として企業が求人賃金を引き上げたり、賃金以外の労働条件を改善したり、ワーク・ライフ・バランス制度を整備したりしていることが示されています。
2024年版でも、小売・サービス分野などの人手不足緩和には、賃金だけでなく有給休暇、研修、労働環境、給与制度の整備などが重要と分析されています。
企業側も、「給料を払えば人は来る」だけでは済まなくなっている。
ここへ、「生活のために絶対ここで働かなければならないわけではない」という労働者が増えれば、雇用関係は少し変わる可能性があります。
もちろん、「資産5,000万円あります。だから週休4日にしてください」と言えば認めてもらえる、という話ではありません。
企業には制度があります。業務上の都合もあります。個別社員だけ特別扱いできないこともある。
しかし少なくとも本人側は、「受け入れてもらえなかったときに辞める選択肢を持てる」、これが決定的に違います。
交渉力とは、相手を言い負かす力ではありません。「交渉が不成立でも生きていける力」でもあるのです。
▶ 会社だけに依存しない資産形成を始めるなら、楽天証券で新NISAや投資信託を確認する「辞められる力」があっても、実際には辞めない方が得になるかもしれない
FIRE資産がある。だったら会社を辞めればいい。普通ならそうなります。
でも人手不足が続き、企業側が働き手を必要としているなら、「FIREできる人ほど、あえて働き続ける選択肢が有利になる」可能性があります。
一見矛盾しています。しかし理由は単純です。
生活のために働く必要が薄い人は、「条件が良い仕事だけ選べる」からです。
例えば、残業が少ない。転勤がない。管理職にならなくていい。仕事内容が面白い。週3~4日勤務が可能。在宅勤務できる。人間関係が悪くない。給与は多少低くてもいい。
こうした条件なら働く。条件が崩れたら辞める。この働き方が可能になります。
これを完全FIREとは呼ばないかもしれません。サイドFIREとも少し違います。
私はもっと単純に、「働いてもいいFIRE」くらいに考えればいいと思います。
経済的には働かなくてもいい。でも働くこと自体を禁止しているわけではない。
この状態になると、給与は生活の生命線ではなく、「働くことへの対価」になります。これは大きな違いです。
「仕事を辞める自由」より「仕事を選ぶ自由」の方が実用的かもしれない
FIREという言葉ではRetire Early、つまり早期退職が目立ちます。
でも現実の生活で本当に欲しいのは、「二度と働かない権利」とは限りません。
嫌な上司の下で働かなくていい。理不尽な転勤を受けなくていい。健康を壊すほど残業しなくていい。くだらない社内競争へ参加しなくていい。仕事内容が嫌なら別の仕事を選べる。半年くらい休んでもいい。こうした自由の方が、日常では使いやすい。
だからFIRE資産の完成形は、「仕事を辞めるためのお金」ではなく、「仕事を選ぶためのお金」なのかもしれません。
▶ 正社員を続けながら「辞めないFIRE」は可能?|ブラック企業・ホワイト企業で変わる“辞めない戦略” / FIRE計画の羅針盤
FIREできる資産ができても、職場環境が悪くなければ正社員を続ける選択肢があります。会社員という制度をどこまで利用するかはこちらで整理しています。
▶ ジョブハギングはFIREを目指す会社員の新常識?|正社員にしがみつきながら「辞められる資産」を作る現実戦略 / FIRE計画の羅針盤
雇用不安がある時代に、正社員のポジションを利用しながら「会社を手放せるだけの資産」を作るという逆説はこちらで扱っています。
会社員の福利厚生まで含めると「辞めない方が得」のケースもある
給与以外にも会社員には、健康保険、厚生年金、有給休暇、健康診断、団体保険、福利厚生制度などがあります。
これらを全部自分で用意するFIRE後と比べれば、「働くのは嫌だけど、条件が悪くないならあと数年使おう」という判断も十分あり得ます。
▶ 会社員の福利厚生はいくら得している?|FIRE後に失う健康診断・団体保険・休暇制度の隠れ価値 / FIRE計画の羅針盤
給与だけ見て退職判断をすると、会社員だから受けられていた見えにくい経済的メリットを見落とすことがあります。
つまり、「辞められるのに辞めない」という状態は矛盾ではありません。
「いつでも辞められるからこそ、条件が良いうちは会社員という立場を利用できる」、これは会社に人生を預けることとは違います。
独身者は「辞められる力」を作りやすい一方、完全FIREだけを急がない方がいい
独身者は、家族持ちに比べて生活設計を自分一人で変更しやすい面があります。
住居を小さくする。引っ越す。生活費を下げる。転職する。一時的に収入がなくなる。こうした判断を自分だけで完結しやすい。
その意味では、「会社への依存度を下げる設計はしやすい」かもしれません。
ただし、「独身は最速で会社を辞めるほど得」とは限りません。老後まで考えると事情が変わります。
配偶者や子どもがいない場合、将来的に家族が担っていた役割を、家事支援、見守り、身元保証、財産管理、介護サービス、死後事務など、外部サービスへ頼る場面が出てくる可能性があります。
つまり独身者は、「現役時代には生活を小さくできる一方、晩年には一人で完結できない部分へお金を使う」可能性がある。
だからこそ、資産3,000万円できたから、すぐ完全FIREという一択にする必要はありません。
条件の良い仕事だけ続ける。給与の一部を老後資産へ追加する。厚生年金の加入期間を増やす。会社員としての社会保障も使う。そして十分だと思ったところで降りる。こういうグラデーションがあっていい。
FIREできる人の強さとは、「最速で仕事をやめることではなく、何歳まで、どの程度働くかを自分で決められること」なのだと思います。
AI・人手不足時代に40代会社員が作っておきたい「三つの出口」
では40代会社員は何をすればいいのでしょう。
「AIが来る前に全部辞めよう」でもない。「人手不足だから一生安泰だ」でもありません。両方とも極端です。
私なら、これからの40代会社員は「出口を一つにしない」ことが重要だと思います。
出口1:金融資産で会社への依存度を下げる
まず一番分かりやすいのがお金です。
生活防衛資金を作る。投資資産を積み上げる。固定費を把握する。借金を減らす。退職金や企業年金を確認する。
これによって、「給料がなくなったら来月終わり」という状態から離れていく。
FIRE達成額に到達していなくても意味があります。
資産形成とは、「会社を辞める日を予約することではなく、会社を辞めても困らない可能性を少しずつ買うこと」だからです。
出口2:AIに奪われにくい仕事ではなく「AIと一緒にできる仕事」を持つ
次に仕事そのもの。「AIに絶対奪われない仕事」を探すのは、あまり現実的ではありません。
技術の進化は読めません。それより、AIを使う。
AIの出力を確認する。顧客へ説明する。意思決定する。組織内で調整する。現場へ実装する。
こうした「AIと人間の境界にある仕事」を増やす。
40代なら、過去の業務経験をAIへ載せることができます。
例えば若手よりPowerPointを速く作ることを競うのではなく、「AIが作った資料のどこが危ないか分かる人」になる。こちらの方が長持ちする可能性があります。
出口3:会社の外でも通じる説明ができるようにする
40代になると、「私は○○会社の課長です」は説明できます。
でも、「あなたは何ができますか?」と聞かれると急に難しくなることがあります。
社内調整。資料作成。委員会運営。顧客対応。プロジェクト管理。制度対応。業界知識。
これらを、「会社名と役職を外して説明できるか」、ここが重要です。
例えば、「部長です」ではなく、「複数部署の利害を整理して意思決定へ持っていける」。
「20年勤務しています」ではなく、「○○分野で制度改正対応を継続的に経験している」。
こういう翻訳ができれば、会社の外でも能力を説明しやすくなります。
40代で一番怖いのは、「今の会社で必要とされなくなることではなく、今の会社以外で自分が何者なのか説明できなくなること」なのかもしれません。
この三つ、「金融資産」、「AIとの共存」、「外でも使える能力」、全部持っていれば、完全FIRE、転職、会社継続、休職、働く時間を減らす、さまざまな出口を比較できるようになります。
そして、「どれか一つがうまくいかなくても人生全体が詰みにくい」、これが40代会社員のリスク管理だと思います。
FIREできる人が強くなる未来とは「働かない人が勝つ未来」ではない
「FIREできる人が強くなる日本の未来」、こう書くと「金を持って仕事を辞めた人が勝ち組になる」ようにも見えます。そういう意味ではありません。
AIが進歩する。一部の業務は減る。人口は減る。人手不足は続く。必要とされる職種は変わる。企業は人を引き留める必要が出てくる。
その一方、労働者側も、「どこでもいいから雇ってください」ではなく、「その条件なら働きます」と仕事を選ぶようになる。そんな労働市場になる可能性があります。
そのとき強いのは、AIに絶対仕事を奪われない人でも、一生同じ会社にいられる人でも、最も早く完全FIREした人でもない。
「会社がなくても生活できる、でも必要とされるなら働くこともできる」、この二つを同時に持つ人です。
「経済的自立」と「職業的な選択肢」、この組み合わせはかなり強い。
例えば会社から、「来月から勤務地が変わります」と言われる。
以前なら、「嫌だけど給料が必要だから仕方ない」だった。
資産があるなら、「それなら退職も含めて考えます」という選択肢が出る。
会社が、「管理職になってください」と言う。以前なら断れば評価が下がるのが怖い。
でも出世が人生の生命線でなければ、「今の働き方を続けたいです」と言えるかもしれない。
これは会社に反抗する話ではありません。組織には組織の事情があり、希望が通らないこともあります。
ただ、「希望が通らなかったら人生が終わる状態から離れる」、これが経済的自立の実務的な価値なのだと思います。
そして人手不足が本当に深刻になるなら、企業も少しずつ、「こちらの条件に合う人を採る」だけではなく、「働いてもらえる条件を作る」必要が出てくる。
実際、厚生労働省の分析でも、人材確保のために賃金や労働条件、ワーク・ライフ・バランスを改善する企業の動きが確認されています。
「AIが仕事を変え」、「人手不足が会社を変え」、「資産形成が労働者を変える」、三つが重なれば、「会社が労働者を選ぶだけだった時代から、労働者も会社を選ぶ時代へ」少しずつ近づくのかもしれません。
そのとき40代会社員が目指すべきなのは、「会社に絶対必要とされる人」だけではない。
会社に必要とされなくなっても、転職できる。休める。生活できる。FIREできる。そして別の場所で必要とされたら、また働いてもいい。そんな状態です。
未来の勝ち組は、仕事を失わない人ではななく、「仕事がなくなっても困らず、仕事があれば自分の条件で選べる人」、私はそちらの方が、AIと人手不足が同時に進む日本では強いと思います。
まとめ|「辞められる力」は、辞めるためではなく人生を選ぶためにある
日本の労働市場には、一見すると矛盾した未来が待っています。
AIで仕事が減る。でも人手不足は続く。人口も減る。それでも企業は人を必要とする。
この矛盾は、「仕事がなくなる」、「人が足りなくなる」のどちらかが間違っているからではありません。
「必要とされる仕事と、そこにいる人が一致しなくなる」、これが一番ありそうな未来です。
生成AIによって一部業務は自動化される。その一方、人口減少で労働供給そのものは細くなる。
現場職、サービス職、マネジメント、デジタル人材などでは人手不足が続く。仕事の中身も変わる。
すると労働市場では、「会社に所属していること」そのものより、「必要な場所へ移れること」の価値が上がります。
そして40代会社員がその移動力を持つために必要なのは、転職スキルだけではありません。
金融資産もその一つです。500万円。1,000万円。3,000万円。5,000万円。数字が増えるほど偉くなるわけではありません。
でも資産が増えるほど、給料が一度途切れたら終わり、という状態から離れていける。それだけで会社との関係は変わります。
FIREは、「働くか、働かないか」を二択にする思想ではないのかもしれません。
働く。辞める。休む。転職する。仕事を減らす。条件が良ければ続ける。嫌になったら降りる。必要ならまた戻る。
こうした選択肢を増やすための経済的な土台。そう考えると、FIRE資産の価値は退職後だけにあるわけではありません。
「会社員でいる今から、すでに効いている」、給料が生活の100%を支えているとき、会社の言葉は重い。
資産が少し増えると、少し軽くなる。さらに増えると、「それなら辞めます」というカードが現実的になる。
でも面白いのは、そのカードを持ったからといって実際に切る必要はないことです。
「持っているだけでいい」です。むしろ条件が良ければ、「この会社、案外使えるな」と働き続けてもいい。それが本当の意味での経済的自立です。
AI時代の40代会社員に必要なのは、AIより速く資料を作ることだけではない。
人手不足だから絶対解雇されないと信じることでもない。会社がどうなっても、自分の生活は続く。
そして必要とされる場所があれば、自分で選んで働ける。
「『会社に残れる力』と『会社を辞められる力』を両方持つ」、私は、その状態こそがこれからのFIREの完成形の一つになると思います。
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※本記事はFIRE、早期退職、転職、退職、特定の働き方を推奨・保証するものではありません。働き方の判断は、収入、資産状況、健康状態、職場環境、就業規則、家族構成、再就職可能性などによって大きく異なります。
※本記事でいう「辞められる力」は、会社員が経済的・職業的な選択肢を持つ状態を説明するための便宜的な表現です。資産があることで勤務条件の変更、待遇改善、転職成功等が保証されるものではありません。
※投資には元本割れのリスクがあります。新NISA、投資信託、株式、債券等の利用を検討する場合は、制度内容、リスク、手数料、税制、ご自身の家計・資産状況を確認したうえで、ご自身の判断で行ってください。
※生成AI等を業務で利用する場合は、勤務先の就業規則、AI利用規程、情報セキュリティ規程等をご確認ください。会社の機密情報、個人情報その他外部サービスへの入力が認められていない情報を無断で入力することは避けてください。



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