テクノクラフト(622A)IPOは買い?|ゴルフカートナビ国内シェア63%・HESaaS・健康見守りの業績と初値予想を独身おじさんが検証 / FIRE計画 迷走IPOルート32日目

GPSナビ付きゴルフカートでコースを回り、好スコアに笑顔でガッツポーズするメガネおじさんを描いた、テクノクラフト(622A)IPOの青基調・実写風アイキャッチ画像 IPO日記

独身おじさんのIPO日記、今回検討するのは「テクノクラフト(622A)」です。

上場市場は東証スタンダード。テクノクラフトという社名だけでは何をしている会社なのか分かりませんが、主力商品を見れば一気にイメージしやすくなります。
ゴルフカートに付いているGPSナビ」、あれを長年作ってきた会社です。

テクノクラフトのゴルフカートナビは国内1,300コース以上へ導入され、会社集計による国内シェアは63%。
目論見書でも国内トップクラスの導入実績として紹介されています。

ただし現在のテクノクラフトは、単なる「ゴルフナビメーカー」ではありません。
ハードウェアとソフトウェアを一体で提供し、機器を導入して終わるのではなく、利用料やクラウドサービスなどの継続収入を積み上げる、「HESaaS(Hardware Enabled Software as a Service)」という事業モデルを展開しています。

さらに、ゴルフカートで培ったGPS・クラウド技術を使い、幼稚園・保育園向け業務支援システム「コミュなび」、園児のバス運行管理や見守りGPS、スマートウォッチを使った熱中症・健康見守り、医療機関向けバイタル管理まで広げています。
2025年9月期からは健康見守り事業を正式に第3の柱として立ち上げ、医療機関向け「バイタルナビ」や、建設・運送業など向けの「TECHNO BAND」を展開しています。

会社としては、「ゴルフで築いたGPS・運行管理技術を、保育と医療へ横展開する」というストーリーです。

一方、IPOの需給を見ると少し慎重になります。
公募42万6,000株に対して、売出150万600株。OA28万8,900株。
想定価格630円ベースの吸収金額は約14億円です。
しかも売出150万600株のうち、115万2,200株は新生TC成長支援投資事業有限責任組合による売却で、同ファンドは保有株を全株売り出します。

つまり今回のIPOは、「ニッチトップ級の強い事業基盤と2026年の利益回復」を、「売出中心の需給」がどこまで抑えるかを見る案件です。

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テクノクラフト(622A)IPOの結論

現時点では、「参加。ただし強気一辺倒ではいかない」で考えます。

判断項目評価
申込判断参加
期待値B前後
初値妙味中程度
公募割れリスク低~中程度
事業の分かりやすさ○ ゴルフカートナビを起点としたITサービス
テーマ性GPS、SaaS、ゴルフDX、保育DX、健康見守り、医療DX、AI
業績2025年は低調、2026年3Qで利益急回復
公開規模OA込み約14.0億円
最大のプラス材料カートナビ国内シェア63%+リカーリング収益+利益回復
最大の注意点売出中心・公開比率高め・大株主ファンドの全株売却

会社そのものは結構好きです。ゴルフカートナビで63%のシェアを取り、そこから継続課金へ移行している。
さらに同じGPS・クラウド技術を保育、健康、医療へ転用している。
AIです」、「DXです」と言うだけではなく、「すでに収益を出している既存事業が土台にある」のが強い。

一方、IPO需給はそこまで軽くありません。したがって、「初値2倍を期待するIPO」ではなく、「事業の強さで売出の重さを超えられるかを見るIPO」という評価です。

テクノクラフトIPOの初値予想

想定発行価格は630円。公開規模、業績、売出比率、株主構成、ロックアップを踏まえると、現時点では次のような初値レンジを想定します。

地合い初値予想見方
弱い地合い580円~650円売出中心・公開比率の高さが嫌われる
通常地合い700円~800円国内シェア・2026年利益回復・DXテーマを評価
強い地合い850円~1,000円医療DX・健康見守りまで成長期待が広がる

中心予想は、「720円~800円前後」です。
想定価格630円から、おおむね15~25%程度の上昇を中心に見ます。

需給だけなら、もう少し慎重でもいい案件です。
ただし後で見るように、2026年9月期第3四半期累計の利益がかなり改善しています。
ここが公開価格を支えると考えています。

ゴルフカートナビ国内シェア63%

テクノクラフト最大の強みは、やはりゴルフ関連事業です。
2025年12月末時点で、カートナビの導入実績は、1,300コース以上。国内シェアは会社集計で、63%です。

ゴルフカートナビは、現在位置、コース情報、ピンまでの距離、スコア入力、カート運行管理などを提供します。
さらに最近では、ドラレコ、ジオフェンス、オンラインコンペ、広告、データ分析などを追加し、単なるナビから「ゴルフ場向けDXプラットフォーム」へ広げています。
特に面白いのが、「売って終わり」から「利用料を積み上げる」への転換です。

ゴルフ事業のリカーリング売上は11.4億円

2025年9月期のゴルフ関連事業では、リカーリング・レベニューが、11.4億円。
売上に占めるリカーリング比率は、55.1%まで上昇しています。
カートナビ分野の年間顧客単価ARPAも、2022年9月期の84万6,000円から2025年9月期には96万9,000円まで増えています。

さらに年間チャーンレート、つまり解約率は、0.63%です。
会社は将来的にゴルフカートナビ分野のリカーリング比率を80%まで高める方針を示しています。
これはIPOを見るうえでかなり重要です。
ハードウェア会社だけなら、「今年たくさん売れたけど来年は売れません」となりやすい。
でも利用料収入が積み上がれば、売上の安定性が高まります。

この会社の「HESaaS」という言葉は、少し聞き慣れませんが、「ハードウェアを入口にしてSaaS型の継続収入を取る」と考えると分かりやすいです。

「コミュなび」は全国1,052施設へ導入

第2の柱が、「コミュなび事業」です。
幼稚園、保育園、こども園などに、出欠管理、保護者への連絡、バス運行管理、写真販売、料金計算・決済、園児情報管理などをまとめて提供しています。

2025年9月末時点の導入実績は、全国1,052施設。さらに2025年9月期のリカーリング比率は、97.5%です。
ゴルフという一見ニッチな会社ですが、実際には、「ゴルフ場DX + 保育DX」という二つの継続収益事業を持っています。

第3の柱は健康見守り・医療DX

そして今後の成長期待が一番大きいのが、「健康見守り事業」です。
スマートウォッチを使い、心拍数や血圧などのバイタルデータをクラウド上で管理します。
建設・運送業向けの熱中症・健康見守りだけでなく、医療機関向けの「バイタルナビ」も開発。
病院での実証実験を進め、将来的には循環器疾患などを対象とした医師判断支援型SaMD、つまり「医療機器プログラム」の承認申請も計画しています。

まだ売上規模は小さいです。2026年9月期第3四半期累計でも売上高約4,100万円、営業損失約7,900万円。
現時点では利益を稼ぐ事業ではなく、先行投資フェーズです。
なので、「医療DX企業だから高評価」と先走るのは違います。

今の利益を稼いでいるのは、あくまでゴルフ事業。健康見守りは、「将来の上乗せ材料」として見るのがよさそうです。

テクノクラフト(622A)IPOの基本情報

項目内容
会社名株式会社テクノクラフト
証券コード622A
上場市場東証スタンダード
上場日2026年9月18日
仮条件決定日2026年9月2日
ブックビルディング期間2026年9月3日~9月9日
発行価格決定日2026年9月10日
購入申込期間2026年9月11日~9月16日
申込単位100株
想定発行価格630円
想定必要資金6万3,000円
主幹事SMBC日興証券

今回の目論見書では、公募株の引受人として記載されているのはSMBC日興証券です。
100株なら想定必要資金は6万3,000円なので、金額面では参加しやすいIPOです。

公募・売出・吸収金額|売出中心なのは注意

公開株を整理します。

区分株数想定価格630円ベース
公募426,000株約2.68億円
売出1,500,600株約9.45億円
オーバーアロットメント288,900株約1.82億円
合計2,215,500株約13.96億円

つまり、「公募より売出の方が圧倒的に多い」。公募+売出だけで見ると、約78%が売出です。
さらに大株主だった新生TC成長支援投資事業有限責任組合は、保有する115万2,200株をすべて売却します。
P&Cも34万8,400株を売却します。ここは今回の最大のマイナス材料です。

会社が新しい成長資金を集めるIPOではありますが、「ファンドの出口色もかなり強い」と見ます。

公開比率は約47%|需給は軽くない

上場前の普通株式数は約426万株です。公募42万6,000株を加えると、上場時点では約468万6,000株。
OA込み公開株221万5,500株を比較すると、公開比率は約47%です。

つまり上場時株式数のほぼ半分に相当する規模がIPOで市場へ出てきます。
超小型・品薄IPOではありません。初値が何倍にも跳ねると予想しにくい理由はここです。

想定時価総額は約29.5億円

想定価格630円、公募後株式数約468万6,000株なら、想定時価総額は約29.5億円です。
かなり小さな会社です。ただし2025年9月期だけでPERを見ると、少し印象が違います。

2025年9月期のEPSは15.07円なので、「630円 ÷ 15.07円 = PER約42倍」です。
これだけなら決して安くありません。
ところが2026年9月期第3四半期累計では、1株利益が39.87円まで増えています。
3Q純利益約1.70億円を機械的に12か月換算し、公募後株式数まで反映すると、PER相当はざっくり、「13倍前後」になります。

もちろん正式な通期予想ではありません。
ただ、「2025年実績だけを使うと割高、2026年の足元利益を使うとかなり普通」という評価の難しい案件です。
私は現在の利益回復をある程度評価して、630円に極端な割高感まではないと見ます。

業績|2025年は停滞、2026年に利益急回復

業績は以下のとおりです。

決算期売上高経常利益純利益
2021年9月期約17.3億円約0.96億円約1.37億円
2022年9月期約20.8億円約0.93億円約2.59億円
2023年9月期約20.6億円約1.49億円約0.94億円
2024年9月期約24.0億円約1.20億円約0.95億円
2025年9月期約23.7億円約1.07億円約0.64億円
2026年9月期3Q累計約18.2億円約2.52億円約1.70億円

2025年9月期は売上も利益も伸び悩みました。
しかし2026年9月期第3四半期累計では、売上高約18.16億円、営業利益約2.35億円、経常利益約2.52億円、純利益約1.70億円となっています。
利益面ではすでに前年通期を大幅に超えています。
事業別では、ゴルフ関連事業が3Q累計で売上約15.63億円、セグメント利益約4.41億円。
コミュなびも黒字。健康見守りはまだ赤字です。

つまり現在の利益回復を牽引しているのは、「既存のゴルフ事業」です。
新規事業の夢だけで利益が膨らんでいるわけではない。ここは評価したいです。

公募資金はGPS・医療DX・AIへ

公募による差引手取概算額は約2.20億円。OAに伴う第三者割当増資まで実施された場合、手取額は最大約3.88億円です。

主な資金使途は、以下のとおりです。

資金使途予定額
次世代カートナビ用14インチタブレット約7,005万円
高精度GPS機器2,000万円
ピン・ティ位置取得機器約8,624万円
高精度GPS技術開発約2,475万円
SaMD・ISMS認証等5,000万円
健康見守り用スマートウォッチ約1,802万円
AIを使ったシステム基盤高度化約1億1,880万円

これは結構好きな資金使途です。借金返済や運転資金だけではなく、「既存の強いゴルフ事業を高度化しつつ、医療DXとAIへ投資する」という内容です。

公募株が少ないので調達額自体は大きくありませんが、IPOの成長ストーリーとの整合性は高いです。

株主構成|ファンドはIPOで完全退出

上場前の主要株主は、以下のとおりです。

株主持株比率
P&C株式会社43.52%
新生TC成長支援投資事業有限責任組合24.58%
ヤマモトアセット4.54%
ナミックス3.64%
CRN PTE.LTD.2.73%

新生TC成長支援投資事業有限責任組合は2020年から大株主となり、会社とともに上場を目指してきた投資ファンドです。今回、その保有株をすべて売却します。

つまり、「VC株が上場後に大量に残るわけではない代わりに、IPO時点で一気に売り出される」構造です。
初値にとっては、やはり少し重いです。

ロックアップ|基本180日、一部1.5倍解除

P&C、ヤマモトアセット、ナミックスなど主要株主や役員・新株予約権者には、180日のロックアップがあります。
基本的には価格による解除条件はありません。

ただし、地方創生新潟2号投資事業有限責任組合については、公開価格の1.5倍以上で売却できる条件があります。
想定価格630円なら、945円です。
もっとも同ファンドの保有株は8万5,200株、株主構成上の比率は1.82%なので、巨大なVC爆弾というほどではありません。
強い地合いで初値が945円を超える場合には、一応意識しておけばよいでしょう。

ストックオプションは約41.8万株

新株予約権による潜在株式は、41万7,800株あります。株主状況表ベースでは潜在株式比率は8.93%です。
行使価格は主に660円、一部940円です。想定価格630円とかなり近い。
上場後の株価が上昇すれば将来的な希薄化要因になります。

初値だけならロックアップの方を重視しますが、上場後まで見るなら確認しておきたい数字です。

テクノクラフトIPOのプラス材料

プラス材料内容
国内シェアゴルフカートナビ63%
導入実績1,300コース以上
リカーリング収益ゴルフ55.1%、コミュなび97.5%
低い解約率カートナビ年間チャーン0.63%
2026年利益回復3Q経常利益約2.52億円
成長テーマゴルフDX、保育DX、健康見守り、医療DX、AI
資金使途GPS・SaMD・AIなど成長投資
ロックアップ主要株主は180日中心
財務2026年6月末自己資本が厚く、借入金は小さい

2026年6月末時点では総資産約24.3億円に対して純資産約18.5億円、長期借入金なども小さく、財務はかなり軽いです。

テクノクラフトIPOのマイナス材料・注意点

マイナス材料・注意点内容
売出中心公募+売出の約78%が売出
公開比率約47%で需給は軽くない
ファンド出口新生TCが全保有株を売却
2025年業績売上・利益とも伸び悩み
健康見守り事業まだ営業赤字
ゴルフ依存現在の売上・利益の大半をゴルフ関連が稼ぐ
調達リスクタブレットなどハードウェア仕入に依存
仕入先集中Huawei日本からの仕入比率54.7%
ストックオプション潜在株式41.8万株

特にハードウェア面はSaaS企業と違うところです。
2025年9月期にはタブレットなどの仕入れの54.7%を華為技術日本から調達し、製品組立の約9割を本間電機工業へ委託しています。

供給停止、価格上昇、仕様変更などが起きれば業績への影響があります。
さらに会社自身も、長期的なゴルフ人口減少を主要リスクとして挙げています。
だからこそ保育・医療へ横展開しているとも言えます。

公募割れリスクは「低~中程度」

公募割れリスクは、「低~中程度」と見ます。

公募割れリスクを下げる材料公募割れリスクを上げる材料
カートナビ国内シェア63%売出中心
2026年利益急回復公開比率約47%
リカーリング売上の積み上げファンドの全株売却
小さい時価総額約30億円2025年実績PERは高め
ゴルフDX・医療DXテーマ健康見守りはまだ赤字
主要株主180日ロックアップストックオプションあり
財務体質は良好東証スタンダードでテーマ人気は限定的な可能性

会社の質だけなら、もう一段強気でもいい。
ただ今回は、「売出150万株に対して公募42万株」、ここを無視できません。

通常地合いなら公開価格を上回る方を中心に見ますが、仮条件が強気に設定されたり、IPO地合いが悪化すれば公募近辺も十分あり得ると考えます。

独身おじさんの最終判断

項目判断
事業内容GPS・クラウドを使ったゴルフ、保育、健康見守りサービス
主力国内シェア63%のゴルフカートナビ
成長テーマゴルフDX、保育DX、医療DX、AI
2025年売上高約23.7億円
2026年3Q経常利益約2.52億円
想定価格630円
想定時価総額約29.5億円
公開規模OA込み約14.0億円
公開比率約47%
ロックアップ180日中心、一部1.5倍解除
初値予想中心720円~800円前後
公募割れリスク低~中程度
参加方針参加。ただし強気一辺倒ではいかない

テクノクラフト(622A)は、調べる前と後で印象がかなり変わる会社でした。

ゴルフカートのナビを作っています」だけなら、かなり地味です。
でも実際には、国内シェア63%。1,300コース以上。ゴルフ事業のリカーリング比率55.1%。年間解約率0.63%。コミュなび1,052施設。コミュなびのリカーリング比率97.5%。そして医療DX・健康見守り。意外に強い事業基盤を持っています。
一方、IPOでは、売出中心。公開比率約47%。ファンド全株売却。需給の重さがあります。
今回を一言でまとめるなら、「事業は地味に強い。2026年の利益回復も魅力。ただし売出中心の需給は軽くない」です。

私は参加します。今回はSMBC日興証券が主幹事なので、申し込むならまずそこを確認。
当たれば、「ゴルフナビ屋さんだと思っていたら、結構テック企業だったな」と上場日を待つイメージです。

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※本記事は2026年8月18日時点の公開情報および株式会社テクノクラフトの2026年8月付「新株式発行並びに株式売出届出目論見書」をもとに作成しており、想定発行価格段階での評価を含みます。発行価格、売出価格、公開株数、IPO市場の状況等によって内容や判断は変わる可能性があります。
※本記事の時価総額、吸収金額、公開比率、PER相当値、初値レンジ等には、公開情報をもとにした筆者による試算・予想が含まれます。将来の初値や株価を保証するものではありません。
※本記事は特定の金融商品、IPOへの申込、株式購入または売買タイミングを推奨するものではありません。IPO投資には公募割れ、価格変動、流動性低下、上場後の急落等のリスクがあります。最新の目論見書、訂正目論見書、仮条件、公開価格、各証券会社の取扱条件等をご確認のうえ、ご自身の判断で行ってください。

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