物価が上がっています…
スーパーに行けば、食料品が高い。外食すれば、いつの間にかランチ代が上がっている。
電気代もガス代も気になる。ホテル代も上がる。旅行代も上がる。家電も高い。
医療費そのものは制度で抑えられていても、通院にかかる交通費、薬局で買う市販薬、健康維持のための支出はじわじわ増えます。
FIREを目指す40代独身にとって、インフレはかなり厄介です。
なぜなら、FIRE計画は基本的に「生活費」と「投資余力」を前提に組み立てるからです。
月15万円で暮らせるのか。月18万円必要なのか。月20万円でも足りないのか。年間生活費はいくらか。新NISAに毎月いくら入れられるのか。FIRE資産はいくら必要なのか。退職後に何年分の現金を持つべきなのか。
こうした計算は、生活費が上がるだけで一気に変わります。
ただ、インフレで怖いのは生活費だけではありません。もう一つ、FIRE計画をじわじわ狂わせるものがあります。
それが、「投資余力が増えない問題」です。
- 給料が上がった、でも、新NISAに回せるお金は増えない
- 額面年収は増えた、でも、生活はあまり楽にならない
- 物価上昇分を補うために賃上げされたはずなのに、税金や社会保険料、生活費で消えていく
結果として、FIREに向けた積立額を増やせない。この感覚を持っている人は多いと思います。
「給料が上がったのに、なぜかFIREが近づかない」、この違和感です。
その背景には、単なる物価高だけでなく、税制の仕組みも関係します。
キーワードは、「ステルス増税」と「ブラケットクリーピング」です。
少し難しそうな言葉ですが、FIREを目指す人にはかなり関係があります。
この記事では、「インフレで投資余力が増えない理由」、「給料が上がっても生活が楽にならない理由」、「ステルス増税とは何か」、「ブラケットクリーピングがFIRE計画にどう影響するのか」を、40代独身のFIRE目線で整理します。
大事なのは、FIRE計画を作るときに、「生活費だけでなく、税金・社会保険料・控除の目減りによって投資余力が削られるリスクも見ておくこと」です。
- 結論|インフレ時代のFIRE計画は「生活費」だけでなく「投資余力の伸びなさ」も見るべきです
- ステルス増税とは何か|給料が上がっても投資余力が増えない仕組み
- ブラケットクリーピングとは何か|名目年収だけが増える時代の落とし穴
- 所得控除の実質価値が下がると何が起きるのか
- FIRE計画が狂う理由1|必要生活費が上がる
- FIRE計画が狂う理由2|投資余力が思ったほど増えない
- FIRE計画が狂う理由3|退職後の税金・社会保険料を甘く見やすい
- 40代独身ほど「投資余力の伸びなさ」を感じやすい
- ステルス増税に負けないFIRE家計の見直しポイント
- 新NISAの積立額は「気合い」ではなく「投資余力」で決める
- 退職時期は「資産額」だけでなく「税・物価・投資余力」で決める
- サイドFIRE・副業にもステルス増税は関係する
- インフレ時代のFIREチェックリスト
- 税制は個人で変えられない。でも、FIRE計画は変えられる
- まとめ|インフレ時代のFIREは「額面年収」ではなく「投資余力と実質生活費」で考える
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結論|インフレ時代のFIRE計画は「生活費」だけでなく「投資余力の伸びなさ」も見るべきです
最初に結論から言います。インフレ時代のFIRE計画では、物価上昇だけを見ていては足りません。
「投資余力が思ったほど増えないリスク」も見る必要があります。
FIREを目指す人は、こう考えます。物価が上がるなら、生活費を多めに見積もろう。月15万円ではなく、月18万円で計算しよう。インフレ率を考えて、FIRE必要額を増やそう。現金だけでなく、株式や投資信託で資産を持とう。新NISAで長期投資を続けよう。
これは正しいです。でも、それだけでは少し足りません。
なぜなら、「FIRE資産を作る現役時代の入金力も、インフレと税制で削られる」からです。
給料が上がったとしても、税金や社会保険料も増えます。
物価が上がっても、所得控除や税率区分が十分に調整されなければ、実質的な負担感が増えることがあります。
つまり、インフレ時代はこうなります。
| インフレで起きること | FIRE計画への影響 |
|---|---|
| 生活費が上がる | FIRE必要額が増える |
| 給料が上がる | 額面年収は増える |
| 税金・社会保険料も増える | 自由に使えるお金は思ったほど増えない |
| 所得控除の実質価値が下がる | 税負担の重さを感じやすくなる |
| 投資余力が伸びにくい | 新NISAや追加投資に回すお金が増えにくい |
| 退職後の税・保険料も気になる | FIRE時期の判断が難しくなる |
FIRE計画は、資産額だけで決まりません。
現役時代にいくら積み立てられるか。退職後にいくら使うか。
そして、「税金や社会保険料を引いた後に、どれだけ投資へ回せるか」、ここまで見ないと、かなり甘い計画になります。
インフレ時代のFIREは、「生活費が上がることだけでなく、投資余力が増えにくいことも前提にする必要」があります。
ステルス増税とは何か|給料が上がっても投資余力が増えない仕組み
「ステルス増税」という言葉を聞くと、少し大げさに感じるかもしれません。
増税と言えば、税率が上がるイメージがあります。
消費税が上がる。所得税率が上がる。社会保険料率が上がる。こういうものは分かりやすいです。
でも、ステルス増税は、その名の通り見えにくいです。
- 税率そのものが大きく変わらなくても、物価上昇や賃上げによって名目所得が増え、結果として税負担が増える
- 控除額が物価に追いつかず、実質的な控除の価値が下がる
- 所得税の累進構造によって、名目所得の増加が税負担の増加につながる
こうした形で、知らないうちに自由に使えるお金が削られていきます。
たとえば、給料が上がったとします。月給が1万円増えた。年収が12万円増えた。普通なら、うれしいです。
でも、所得税、住民税、社会保険料を引かれると、そのまま12万円が自由に使えるわけではありません。
さらに、物価が上がっていれば、増えた分以上に食費、光熱費、外食費、交通費が増えているかもしれません。
結果として、こうなります。
| 見た目 | 実感 |
|---|---|
| 給料は上がった | でも投資余力は増えない |
| 年収は増えた | でも生活は楽にならない |
| 賃上げされた | でも食品・光熱費・外食費で消える |
| 税率は変わっていない | でも税負担は重く感じる |
| 新NISAにもっと入れたい | でも追加投資する余裕がない |
これが、FIREを目指す人にはかなり痛いです。なぜなら、「FIREは入金力が命」だからです。
毎月5万円積み立てる。毎月10万円積み立てる。ボーナスで追加投資する。新NISAのつみたて投資枠を埋める。余裕があれば成長投資枠も使う。こうした計画は、投資余力が増えてこそ続けやすくなります。
でも、インフレで生活費が増え、税金や社会保険料も増え、投資余力が伸びなければ、FIRE達成時期は思ったほど早まりません。FIRE計画が狂うのは、生活費だけではないのです。
ブラケットクリーピングとは何か|名目年収だけが増える時代の落とし穴
次に、「ブラケットクリーピング」です。
聞き慣れない言葉ですが、FIREを目指す人は知っておいて損はありません。
ブラケットクリーピングとは、ざっくり言えば、「インフレや賃上げで名目所得が増えた結果、より高い税率区分に近づいたり、入り込んだりして、税負担が重くなる現象」です。
所得税は「累進課税」です。課税所得が増えるほど、より高い税率が適用される部分が出てきます。
これは本来、所得が高い人ほど負担能力があるという考え方に基づく仕組みです。
ただし、インフレ時代には少しややこしくなります。
物価が上がったから給料が上がっただけ。実質的に豊かになったわけではない。
それなのに、「名目所得が増えたことで課税所得が増え、税負担が増える」、これが問題です。
FIRE目線で言うと、こうです。「給料は上がったのに、FIREに回せるお金が増えない…」。
なぜなら、増えた給料がそのまま投資に回るわけではないからです。
| 収入増の見え方 | 実際に起きること |
|---|---|
| 額面年収が増える | 所得税・住民税・社会保険料も増える |
| 昇給した | 物価上昇分を補うだけで終わる可能性がある |
| 課税所得が増える | 税率区分の影響を受けやすくなる |
| 控除額が固定されている | 控除の実質価値が目減りする |
| 投資余力が増えにくい | 新NISAへの入金力が伸びにくい |
もちろん、給料が上がること自体は悪いことではありません。むしろ、FIREを目指すなら年収アップは大事です。
問題は、「額面年収の上昇をそのままFIRE加速と考えてしまうこと」です。
FIREに必要なのは、額面年収ではなく、「税金・社会保険料・生活費を引いた後に残る投資余力」です。
ブラケットクリーピングは、この投資余力をじわじわ削る可能性があります。
所得控除の実質価値が下がると何が起きるのか
ステルス増税やブラケットクリーピングを考えるうえで、もう一つ大事なのが「所得控除」です。
基礎控除。給与所得控除。社会保険料控除。生命保険料控除。医療費控除。iDeCoの小規模企業共済等掛金控除。
こうした控除は、税負担を計算するうえで重要です。
ただし、「物価が上がる時代には、定額の控除は実質的に目減りします」。
たとえば、昔の10万円と今の10万円では、買えるものが違います。
物価が上がるほど、同じ10万円の価値は下がります。
それと同じように、控除額が固定されていると、物価上昇によって控除の実質的な価値が下がります。
結果として、同じような生活水準を維持しているだけなのに、税負担が重く感じられることがあります。
| 物価上昇前の感覚 | インフレ後に起きること |
|---|---|
| 控除額が十分に効いている | 控除の実質価値が下がる |
| 投資余力を増やせると思う | 税負担と生活費で思ったほど残らない |
| 生活費が一定に見える | 実際は食費・光熱費・交通費が上がる |
| 新NISAの積立額を増やせると思う | 投資余力が増えにくい |
| FIRE必要額を低く見積もる | 実際には安全余裕が足りない |
FIREを目指す人は、つい投資の利回りに目が行きます。
年率4%で運用できるか。新NISAでどれだけ増えるか。高配当株で月5万円もらえるか。
でも、税金と控除の目減りも、長期のFIRE計画には効いてきます。
リターンを1%高めることも大事です。ただ、それと同じくらい、「実際に投資へ回せるお金がどれくらい残るか」を見ることも大事です。
FIRE計画が狂う理由1|必要生活費が上がる
インフレで一番分かりやすい影響は、「生活費の上昇」です。
食費。光熱費。通信費。交通費。医療費まわり。旅行費。外食費。日用品。家電。住居費。
これらが上がると、FIRE後に必要な資産額も増えます。
たとえば、月15万円で暮らせると思っていた人が、実際には月18万円必要になったとします。
年間生活費は180万円から216万円に増えます。差額は年間36万円です。
10年で360万円。20年で720万円。30年で1,080万円です。
| 月生活費 | 年間生活費 | 30年分の単純合計 |
|---|---|---|
| 15万円 | 180万円 | 5,400万円 |
| 18万円 | 216万円 | 6,480万円 |
| 20万円 | 240万円 | 7,200万円 |
| 22万円 | 264万円 | 7,920万円 |
もちろん、実際には運用、年金、税金、社会保険料、年齢による支出変化があります。
単純に30年分を現金で用意する必要はありません。
ただ、月3万円の違いが長期ではかなり大きいことは分かります。
インフレ時代のFIREでは、昔の生活費をそのまま使ってはいけません。
「今は月15万円でいける」、「独身だから月18万円あれば大丈夫」、そう思っていても、5年後、10年後には違うかもしれません。
生活費の見直しは、FIRE前だけでなく、FIRE後も続ける必要があります。
FIRE計画が狂う理由2|投資余力が思ったほど増えない
次に、「現役時代の投資余力」です。FIREを目指す人にとって、投資余力はものすごく大事です。
毎月の積立額。ボーナス投資。新NISAの枠。特定口座への追加投資。現金余力。
これらは、自由に使えるお金から生活費を引いた残りで決まります。
つまり、FIREの加速力は、ざっくり言えばこうです。
自由に使えるお金 − 生活費 = 投資余力
しかし、インフレ時代はこの式が崩れやすくなります。
給料は上がる。でも、生活費も上がる。税金も増える。社会保険料も増える。
結果として、投資余力が増えない。これが一番しんどいところです。
| 項目 | インフレ時代に起きやすいこと |
|---|---|
| 額面収入 | 賃上げで増える可能性がある |
| 自由に使えるお金 | 税金・社会保険料で伸びが抑えられる |
| 生活費 | 食費・光熱費・外食費などで増える |
| 投資余力 | 思ったほど増えない |
| FIRE達成時期 | 後ろ倒しになる可能性がある |
これが、FIREを目指す40代にはかなり刺さります。
若い人なら、昇給や転職で入金力を上げる余地が大きいかもしれません。
でも40代になると、昇給余地も限られてきます。
転職で年収を上げるのも簡単ではありません。体力やメンタルも無限ではありません。親の介護や自分の健康不安も見えてきます。
その中で、インフレと税負担が投資余力を削る。これはかなり現実的な問題です。
FIRE計画が狂う理由3|退職後の税金・社会保険料を甘く見やすい
FIREで怖いのは、現役時代だけではありません。退職後も「税金と社会保険料」があります。
住民税。国民健康保険料。国民年金保険料。所得税。介護保険料。医療費。
退職後の初年度は、前年所得に基づく住民税や国民健康保険料が重く感じられることがあります。
さらに、投資信託を取り崩したり、配当金を受け取ったり、副業収入があったりすると、税金や社会保険料への影響を考える必要が出ます。
FIRE後は「会社を辞めたら支出が減ると思いがち」です。
確かに、通勤費、昼食代、スーツ代、飲み会代などは減るかもしれません。
でも、会社員時代に給与天引きされていたものが、自分で払うものとして見えるようになります。
| 会社員時代 | FIRE後 |
|---|---|
| 税金・社会保険料は給与天引き | 自分で納付するものが増える |
| 会社が年末調整してくれる | 確定申告が必要になる場合がある |
| 健康保険は会社経由 | 国保・任意継続などを選ぶ必要がある |
| 厚生年金に加入 | 国民年金中心になる場合がある |
| 毎月給与が入る | 資産取り崩しや配当が中心になる |
ここを甘く見ると、FIRE初年度にかなり焦ります。
インフレ時代は、生活費だけでなく、税金・社会保険料も含めた家計管理が必要です。
40代独身ほど「投資余力の伸びなさ」を感じやすい
この記事を読んでいる人の中には、年収600万円台、700万円台、800万円台くらいの40代独身会社員も多いと思います。この層は、FIREを目指すうえでかなり微妙な位置にいます。
貧困ではないけど、すごく余裕があるわけでもない。
生活費を抑えれば投資できるけど、家賃、税金、社会保険料、医療費、親のこと、老後のことを考えると、簡単に会社を辞められるほどでもない。
この層にとって、インフレと税負担はかなり効きます。
給料が少し上がっても、投資余力はそこまで増えない。生活費は上がる。新NISAには入れたい。老後資金も不安。
でも、今の生活も削りすぎると疲れる。まさに、FIRE計画が迷走しやすい層です。
| 40代独身会社員の悩み | インフレ・税負担の影響 |
|---|---|
| 新NISAにもっと入れたい | 投資余力が伸びず積立増額が難しい |
| FIRE資産を増やしたい | 生活費上昇で入金力が削られる |
| 退職時期を早めたい | 必要資産額が増えて後ろ倒しになりやすい |
| 老後不安を減らしたい | 年金・医療費・税金も気になる |
| 今の生活も楽しみたい | 節約しすぎるとFIRE疲れになる |
ここで大事なのは、焦らないことです。
投資余力が思ったほど増えないのは、自分の努力不足だけではありません。
インフレ、税制、社会保険料、物価上昇、控除の目減り。こうした構造的な要因もあります。
だからこそ、FIRE計画は一度作って終わりではなく、定期的に見直す必要があります。
ステルス増税に負けないFIRE家計の見直しポイント
では、どうすればいいのでしょうか。
税制そのものを個人で変えることはできません。
ブラケットクリーピングを止めることもできません。
所得控除の物価調整を自分で決めることもできません。
でも、FIRE家計を見直すことはできます。ポイントは、次の5つです。
| 見直しポイント | やること |
|---|---|
| 投資余力ベースで考える | 額面年収ではなく、実際に投資へ回せるお金を見る |
| 生活費を年1回更新する | 昔の生活費でFIRE必要額を計算しない |
| 税金・社会保険料を別枠で見る | 退職後の住民税・国保・年金を忘れない |
| 積立額を固定しすぎない | インフレ時代は無理な入金で疲れない |
| 退職時期に余白を持たせる | 1年、2年の遅れを失敗と見なさない |
特に大事なのは、「投資余力ベースで考えること」です。
年収700万円。年収800万円。こうした額面だけを見ると、かなり余裕がありそうに見えます。
でも、実際にFIRE資産へ回せるのは、「税金・社会保険料・生活費を引いた後のお金」です。
さらに、インフレで生活費が増えれば、投資余力は減ります。
だから、FIRE計画では次のように考えます。
額面年収ではなく、年間投資余力を見る
- 年間いくら投資できるのか
- その投資額は、物価高でも続けられるのか
- 新NISAの積立額は無理がないか
- 生活防衛資金は減っていないか
- 退職後の税金を別に準備しているか
ここを見る方が現実的です。
新NISAの積立額は「気合い」ではなく「投資余力」で決める
インフレ時代に気をつけたいのが、「新NISAの積立額」です。
新NISAはとても強い制度です。長期投資の中心に置きたい制度です。
FIREを目指すなら、できるだけ活用したいです。
ただし、無理に積立額を上げすぎると、生活が苦しくなります。
毎月10万円積み立てたい。できれば年間360万円を埋めたい。成長投資枠も使いたい。そう思う気持ちは分かります。
でも、インフレで生活費が上がり、税金や社会保険料も重く感じる中で、無理に積立額を固定すると、かなり疲れます。「FIRE疲れ」です。
新NISAは大事です。でも、生活防衛資金を削ってまで満額を狙うものではありません。
| 無理な積立 | 現実的な積立 |
|---|---|
| 生活費を削りすぎる | 投資余力を見て決める |
| 現金余力が薄くなる | 生活防衛資金を残す |
| 暴落時に不安になる | 下落時も続けられる額にする |
| 今の生活が楽しくなくなる | 少し使うお金も残す |
| FIRE達成だけが目的になる | 継続できる家計にする |
インフレ時代のFIREでは、積立額を増やすより、続けられることが大事です。
毎月10万円がきついなら、8万円でもいい。5万円でもいい。ボーナス月だけ追加でもいい。
生活費が上がった年は、少し抑えてもいい。大事なのは、途中で折れないことです。
FIREは短距離走ではありません。税金、物価、健康、仕事、親のこと、いろいろな変化に対応しながら続ける長距離走です。
退職時期は「資産額」だけでなく「税・物価・投資余力」で決める
FIREを考えると、退職時期を資産額で決めがちです。
3,000万円になったら辞める。4,000万円になったら辞める。5,000万円あれば安心。
こういう目標は分かりやすいです。ただ、「インフレ時代には、資産額だけで判断すると危険」です。
同じ3,000万円でも、物価が低い時代の3,000万円と、物価が高い時代の3,000万円では意味が違います。
- 生活費が上がれば、必要資産も増えます
- 退職後の税金や国保が重ければ、初年度の現金準備も増えます
- 年金見込額が少なければ、65歳以降の不足額も増えます
つまり、退職時期は資産額だけでは決められません。
| 見るべき項目 | 確認する理由 |
|---|---|
| FIRE資産額 | 退職後の生活原資になるため |
| 年間生活費 | 必要資産額を左右するため |
| 投資余力 | 退職までの積立ペースを決めるため |
| 住民税・国保・年金保険料 | 退職後の支出に直結するため |
| 年金見込額 | 65歳以降の不足額を計算するため |
| 物価上昇への余白 | 将来の生活費上振れに備えるため |
退職時期を考えるときは、「資産額が目標に届いたか」だけでなく、「その資産額が今の物価と税負担に耐えられるか」を見る必要があります。
インフレ時代のFIREは、少し保守的なくらいでちょうどいいです。
サイドFIRE・副業にもステルス増税は関係する
この話は、完全FIREだけではなく、「サイドFIREにも関係」します。
会社を辞めて、少しだけ働く。個人事業主として仕事を受ける。副業収入を得る。アルバイトで生活費の一部を補う。こうした働き方を考えている人も多いと思います。
ただ、副業や個人事業主になると、税金の見え方が変わります。
会社員時代は給与天引きだったものを、自分で意識する必要があります。
所得税。住民税。国民健康保険料。国民年金。消費税やインボイスの問題。経費管理。確定申告。
さらに、インフレによって名目売上だけが増えると、実質的な余裕は増えていないのに、税務や事務負担が重くなる可能性もあります。
東京財団の論考でも、インフレによって名目売上が増えると、実質的な事業規模が変わらなくても消費税の免税点を超える可能性や、インボイス対応などの事務負担が小規模事業者に重くなり得る点が整理されています。
これは、サイドFIREを考える人にも関係します。
- 売上が増えたけど、物価上昇で経費も増えた
- 課税や事務負担も増えた
- 自由に使えるお金は思ったほど増えない
こうなる可能性があります。
サイドFIREは魅力的です。完全に働かないより、収入の安心感があります。
でも、税金や社会保険料、確定申告、インボイス、経費管理を甘く見ると、思ったより大変になります。
インフレ時代のFIREチェックリスト
ここで、インフレ時代にFIRE計画を見直すチェックリストを作ります。
| チェック項目 | 確認したか |
|---|---|
| 額面年収ではなく投資余力を確認した | □ |
| 年間生活費を直近の物価で見直した | □ |
| 食費・光熱費・外食費の上昇を反映した | □ |
| 住民税・所得税・社会保険料を別枠で確認した | □ |
| 新NISAの積立額が無理なく続くか確認した | □ |
| 退職後初年度の税金・国保・年金保険料を見込んだ | □ |
| ねんきんネットで年金見込額を確認した | □ |
| マイナポータルで医療費・所得・住民税情報を確認した | □ |
| 副業・サイドFIRE時の税務負担を確認した | □ |
| 退職時期に1〜2年の余白を持たせた | □ |
このチェックリストを見れば分かる通り、FIRE計画は投資だけではありません。
税金。社会保険料。物価。医療費。年金。退職後初年度の支払い。副業の税務。こうしたものをまとめて見る必要があります。
面倒です。かなり面倒です。でも、ここを見ないままFIREすると、あとで焦ります。
税制は個人で変えられない。でも、FIRE計画は変えられる
ステルス増税やブラケットクリーピングの問題は、個人ではどうにもできません。
税制を変えるのは政治や制度の話です。
所得控除の物価調整をどうするか。税額控除にするのか。基礎控除をどう設計するのか。消費税の免税点をどうするのか。こうした話は、個人の家計管理だけで解決できるものではありません。
ただし、個人ができることもあります。
- 自分の投資余力を把握する
- 生活費を更新する
- 無理な積立をしない
- 退職後の税金を先に見積もる
- 年金見込額を確認する
- インフレを前提にFIRE必要額を見直す
- サイドFIREなら税務と事務負担を確認する
FIREを目指す人に必要なのは、制度への不満だけではありません。
不満を持ちながらも、自分の計画を現実に合わせて調整することです。
税制は変わるかもしれません。物価も変わります。社会保険料も変わります。
だから、FIRE計画も変えていいのです。
- 一度決めたFIRE必要額に固執しない
- 一度決めた積立額に固執しない
- 一度決めた退職年齢に固執しない
- 変化に合わせて調整する
これが、インフレ時代のFIREには必要です。
まとめ|インフレ時代のFIREは「額面年収」ではなく「投資余力と実質生活費」で考える
インフレで怖いのは、物価が上がることだけではありません。
「給料が上がっても、FIREに回せる投資余力が思ったほど増えないこと」です。
税金や社会保険料が増える。所得控除の実質価値が下がる。累進課税によって税負担が重くなる。物価上昇で生活費が増える。
結果として、新NISAや追加投資に回せるお金が伸びにくくなる。
これが、ステルス増税やブラケットクリーピングがFIRE計画に与える怖さです。
FIREを目指す40代独身は、額面年収だけを見てはいけません。
大事なのは、「投資余力」です。そして、「実質的な生活費」です。
- 年収が増えたかどうかではなく、FIREに回せるお金が増えたか
- 生活費を引いた後に、投資に回せるお金が増えたか
- 退職後の税金・国保・年金保険料まで含めて、生活できるか
ここを見る必要があります。インフレ時代のFIRE計画は、少し厳しめに見ておいた方がいいです。
- 生活費は上振れする
- 投資余力は思ったほど増えない
- 税金と社会保険料は軽く見ない
- 退職後初年度の負担を甘く見ない
- 新NISAの積立額は、気合いではなく継続可能性で決める
- 退職時期には余白を持たせる
FIREは、税金から完全に逃げることではありません。
物価上昇から完全に逃げることでもありません。
「変化する制度と家計の中で、自分の自由を守るための計画」です。
だからこそ、ステルス増税やブラケットクリーピングを知っておく意味があります。
投資余力が増えない理由を知る。生活費が上がる理由を知る。税負担が重く感じる理由を知る。
そのうえで、FIRE計画を見直す。
これが、インフレ時代にFIREを目指す40代独身にとって、かなり現実的な防衛策だと思います。
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