FIRE計画迷走中の読書日記、2巻目は『爆発物処理班の遭遇したスピン』(佐藤 究 著)です。
本作は、『Ank: a mirroring ape』や『テスカトリポカ』で評価を高めた、
ハードで社会性の強い作風が特徴の佐藤究による短編集。
短編集は星新一を読み始めた小中学生からずっと好き。
ただ、当たり外れが激しいから、なかなか購入には至らないのが悲しい。
表題作「爆発物処理班の遭遇したスピン」は量子力学×爆発物処理の異色サスペンス
「鹿児島県の小学校に爆破予告が入り、爆発物処理班が処理を無事終えたと安心した刹那、爆発。
立て続けに、鹿児島市内のホテルで酸素カプセルにも爆弾を設置したとの連絡が。
カプセルのカバーを開ければ即爆発。爆弾解除には量子力学がカギとなる」
……というのが、表題作「爆発物処理班の遭遇したスピン」のネタバレしない範囲での簡単なあらすじ。
そのほかにも、「ジェリーウォーカー」、「シヴィル・ライツ」、「猿人マグラ」、「スマイルヘッズ」、
「ボイルド・オクトパス」、「九三式」、「くぎ(日本推理作家協会賞短編部門候補作)」を含む
全8編が収録されています。
佐藤究という作家への信頼と短編集としての完成度
佐藤究は名前で購入を決められる数少ない作家の一人、テスカトリポカの前半の引き込まれ具合は凄い。
だからこそ、後半からラストにかけて失速した感じがして個人的には残念だったけど。
そんな佐藤究の短編集、期待を裏切らない面白さ、全8編の個人的なベスト3は、こんな感じです。
1位:「爆発物処理班の遭遇したスピン」、2位:「スマイルヘッズ」、3位:「くぎ」
特に、この3つは長編でもっと読みたかった感が強かったです。
「フルコースにできる食材を使って、牛丼作ってみました」みたいな、それは旨いよって感じ。
「くぎ」は「テスカトリポカ」に昇華されている感じはするので、今後に期待できるのかしらん。
暴力と共存する世界を生きる読書として
あまりに暴力的な話は苦手だけど、佐藤究の描く暴力は、動の暴力と静の暴力をしっかり描き分け、
その結果について論評せず、結果を淡々と観察日記のように、科学論文のように書き記しているのが好き。
暴力への憧れと嫌悪が入り混じる、この感情を切り離せない人間達が蔓延る世界で、
生きていかなければいかないのだから、敵情視察のためにもご一読を。



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